携帯各社がLTEなどの高速通信サービスを導入して以来、「自社のサービスが最もつながりやすく、通信速度も1位」といった広告競争が過熱していますが、消費者保護のため、一定のルール作りが行われることが明らかになりました。詳細は以下から。
時事ドットコム:「つながりやすさ」に基準=スマホPR過熱にクギ-総務省
時事通信社の報道によると、スマートフォンのインターネットへの「つながりやすさ」について、総務省が通信速度を公平に測る基準を定めるそうです。
これは携帯各社が調査結果から有利なデータを選び、自社のつながりやすさを主張する傾向に歯止めをかける必要があると判断されたことによるもの。
マーケティング機関などが発表したデータを元に携帯会社が自社サービスの優位性を宣伝する事例は数多くありますが、対象機種の選定や着眼点に不思議な部分も多く、BUZZAP!でもMMD研究所やMM総研の調査結果にツッコミを入れた経緯があります。
また、各社は限られた条件で実現する「最高速度」をアピールしていますが、総務省は混雑状況や時間帯などで実感する速度との乖離があることも問題視。消費生活センターなどに利用者からの苦情や相談が多く寄せられているとのこと。
昨年5月末にBUZZAP!が行った速度調査。渋谷駅に掲げられたソフトバンクの広告には「東京の主要ランドマーク下り平均速度」として、ソフトバンクが24.5Mbps、auは15.6Mbps、ドコモは19.4Mbpsという数字が並べられていましたが……
混雑する平日夕方の帰宅ラッシュ時に広告の足元、渋谷ハチ公前広場で速度を計測(左がau、右がソフトバンク)したところ、ソフトバンクは3Mbpsに満たない速度となりました。
また、検証を進めたところ、ソフトバンクは「通信の最適化」で常に画像を圧縮することでデータ通信量を抑え、ネットワークへの負荷を軽減していることも明らかに。ユーザーはオリジナルより劣化したコンテンツを見せられているわけです。
さらに「3日間で1GB」を超過した場合、au(左)では特に問題無く通信できるのに対して、ソフトバンク(右)はスピードテストが成り立たないほど通信速度を制限しています。
つまり、ソフトバンクと他2社の間では前提条件が異なる部分が多く、通信速度を公平に測る基準を定めたところで、本当にユーザーがより良いサービスを選ぶ指標となりうるのか疑問であると言わざるを得ないわけです。
なお、利用できるエリアの目安となる「人口カバー率」については、携帯各社で算出基準が異なっていましたが、昨年ようやく統一。かねてからプラチナバンドLTEの実人口カバー率99%を掲げていたauは、新基準でも99%になることを改めて表明しています。