地震が発生した際、非常に気になるのが「自分の家がどれだけ被災しているのか」という部分。
特に津波などの心配が無い場合、自宅に留まって様子を見るか、それとも今すぐ避難すべきかを考えあぐねてしまうこともあるかと思われますが、判断材料を与えてくれる被災度判定計&地震計「GAINET(ガイネット)」が開発されました。詳細は以下から。
◆「GAINET」とは?
これが今回開発された被災度判定計および地震計「GAINET」。表示部と計測部の2つのユニットで構成されており、こちらは表示部です。
計測部は建物の地盤部分に設置します。
なお、表示部の中にはKDDIが展開する800MHzのプラチナバンドLTEに対応した京セラ製の通信モジュール「KYM11」を搭載。
手に収まるコンパクトサイズです。
表示部の画面左上にはLTEのアンテナピクト。3GでなくLTEネットワークを利用するのは、3Gと比較してレイテンシが低いことや、音声通話にも利用されている3Gには災害時に回線がパンクする懸念がある一方で、LTEはデータ通信のみであるため、パンクする危険性が低いことなどが影響しています。
GAINETは被災度判定計および地震計に通信機能を持たせ、各戸の構造情報と地震波の計測・分析を元に、建物および地盤の被災度を判定してクラウドサーバーに集積し、被災度・緊急度に応じた復旧活動を行えるというもの。地震波の初期微動 (P波) を感知し、主要動 (S波) が到達する前に警告音を発信することなどもできます。
発表会場では実際に計測部を揺らして震度を測定するデモも実施。なお、誤検知を減らすため、トラックなどの交通振動を誤判定しないようなアルゴリズムが組み込んであります。
警報音と共に、リアルタイムに震度を把握することができました。
デモの様子。震度に応じて警報音も大きくなり、表示も青~赤に。家人が危険を素早く判断できる点がポイントで、将来的には震源地に近い家が周辺の家に対して警告を送るような仕組みを導入することも検討しています。
実際にモデルルームに搭載したところはこんな感じ。
◆GAINETのメリットをミサワホーム、KDDIが解説
そして本日、ミサワホーム東京で行われた説明会の様子がこちら。ミサワホームでは被災者の声をもとに「MISAWA-LCP設計基準」を設定。震度7でも倒壊しない、災害直後の居住性、インフラ停止時でも生活できることをコンセプトにしています。
そこにGAINET(GAIAとNETOWORKの造語)を組み合わせることで、災害対策がより強化される……というわけです。
地震波の初期微動(P波)を感知し、主要動(S波)が到達する前に警告音を発することで、直下型地震にも対応します。
KDDIはGAINETに対し、LTEネットワークを提供。モノが通信する「IoT/M2M」時代のアプローチです。
◆発表会での質疑応答
日経BP金子:
GAINETの価格は?実証実験の効果は?LTEが寸断した場合の挙動は?5年保証とあるが、壊れた時に交換できる設計になっているなど、永続性は?災害時にドアを自動で開けるといったアプローチがあったが、他には?
ミサワホーム:
GAINETは地震計と被災度判定計を組み合わせた、住宅向けとしては初のもの。機器そのものは5年分の通信料、サービス料を含めた10万円以下で提供することを考えています。他社の建物であれば構造診断が別途必要になるため、提供条件によって異なると考えている。気象庁のアメダスを超える設置台数にしていきたい。
実証実験は直近で大きな地震はなく、半年ほど・100軒程度のフィールドテストで集めたデータを検証している。5年という保証期間は本体樹脂の耐用年数。それ以降は携帯電話と同じように、交換という作業を前提として考えています。配線そのものは使えるので、機器の単純な交換ができます。通信モジュールを備えているので、機器のアップデートなどがセンターから行える部分は大きい。
KDDI:
表示部には電波強度なども出ているので、LTEが寸断した場合は確認できる。LTEの永続性が質問としてあったが、過去の事例を見た場合、PDCの頃のように新しい技術に移っていくということはあるが、続く限り続ける。最新技術を導入いただいたことが長期間使えるということになっている。
時事通信橋本:
5年目以降は利用料金がかかるということだが、具体的には?
ミサワホーム:
どんなサービスを付けるかなどもあるため、まだ確定していないが、目安としては月々数百円程度にできれば……と考えています。
フリー小山:
設置は新築を基本に考えているのか。工事を含めたトータルの設置料金は?
ミサワホーム:
他社の建物やすでに建っている建物については、構造診断を行う必要があるため、今後の課題と考えています。設置料金は13万3000円と考えていますが、地方によって異なります。
NHK:
「災害時に家の状況を知りたい」というニーズはどれくらいあると考えているのか。外出先でスマホで家の状況を知りたいというニーズもあると思うが、提供する予定はあるのか。被災データは自治体などにとっても貴重だと思うが、取り扱いは?
ミサワホーム:
お客さまの市場性は我々もしっかり把握できていません。現地に行ってみないと分からない、インフラが遮断されたときにどうするんだという声に対して開発しました。スマホからの状況確認については搭載するスケジュールには入っています。データについては今後これを出させていただいて、いろいろな反響を見ながら、どういう風にすれば社会貢献できるかをKDDIさんと考えていきたい。
ミサワホームグループとKDDIが”家のIoT”を共同開発 被災度判定計「GAINET」を発売 | 2015年 | KDDI株式会社