昨年11月にワイモバイルがモバイルルーター最新機種「Pocket WiFi 305ZT」が使い放題になるという「CA対応Pocket WiFi使い放題キャンペーン」を展開しました。
建物の中などに弱いAXGPに加えて、エリアの広いLTE網も利用できるため、固定回線の代わりに……と考えた層から一定の支持を集めていたわけですが、ある日突然利用者が阿鼻叫喚の声を上げる、大炎上の様相を呈してしまいました。はたしていったい何があったのでしょうか。詳細は以下から。
◆「CA対応Pocket WiFi使い放題キャンペーン」とは?
今回話題となったCA対応Pocket WiFi使い放題キャンペーンのおさらい。同キャンペーンは新型モバイルルーター「Pocket WiFi 305ZT」が月額3696円で24ヶ月間、使い放題になるというものです。
Pocket WiFi 305ZTは2.5GHz帯のAXGPを2つ束ねるキャリアアグリゲーションで下り最大165Mbpsを実現。建物の中に弱いAXGP以外にも、ソフトバンクのLTE(2.1GHz帯)やワイモバイルのLTE(1.7GHz帯)を切り替えて利用できるスグレモノです。
ただし「使い放題」の内容は、対象となる「Pocket WiFiプラン+」の通信量上限(7GB)を超過した際の、通常速度に戻す追加料金(500MBごとに500円)が最大2年間無料になるというもの。
通常速度に戻すには「My Y!mobile」またはPocket WiFi本体のタッチスクリーンから申し込む必要があるため若干不便ですが、前述のように対応するネットワークも多く、つい飛びついてしまった……というユーザーが多かったわけです。
◆キャンペーン開始当初は緩かった制限
Buzzap!ではキャンペーン開始当初、「いくら使い放題をうたっていても、『3日間で1GB制限以上通信したユーザーに対して速度制限を実施する場合がある』としている点に気を付ける必要がある」など、注意を促す記事を掲載しました。
しかし、幸いなことにキャンペーン開始当初は厳しい制限が課せられることはなく、「305ZTの制限は緩い」という話が出るほどで、懸念は単なる杞憂かと思われていましたが……
3日間の制限が緩くなってる?話もあるようだが。RT @BUZZAP_JP: 本当に使い放題?ワイモバイルの「CA対応Pocket WiFi使い放題キャンペーン」の注意点いろいろ | BUZZAP! http://t.co/HdI8oEtiPr #ymobile #softbank
— rikiya (@rikiya_u) 2014, 11月 1
◆今年4月から突如「3日間で1GB」制限を厳格に適用、通信量増大を理由に
同キャンペーン開始から半年が経過した2015年4月から、まさかの「3日間で1GB」制限が本格発動される事態に。これを受けて大手価格情報サイト「価格.com」では、同端末に対する評価が急落し、2015年5月9日15時時点での満足度は1.94(満点は5.00、カテゴリ内平均2.93)です。
消費生活センター経由で解約交渉を行うユーザーまで発生しています。
なお、ソフトバンクグループの「3日間で1GB制限」はすさまじく、かつてBuzzap!で、3日間で1GB以上通信したau回線(左)とソフトバンク回線(右)を比較したところ、ソフトバンクは条件に該当すると速度計測が成り立たないほどの制限を課していることが判明。
305ZTユーザーに対してはここまで過酷ではないものの、「1Mpbs未満に減速されている」という声が数多く確認できていますが、確かにある日突然、あからさまに速度が落とされるようになってしまっては、ユーザーが怒るのも無理からぬことです。
この件について「産経アプリスタ」が4月末に問い合わせたところ、ワイモバイル広報部は以下のように回答し、3日間で1GB以上通信したユーザーに対して制限を実施していることを認めています。
「急激なユーザー増加により通信量が増大したため、3日間で1GB以上を使われたお客様に制限をかけさせていただいている」と速度制限の実施を認めました。確かに通信量の増大は通信会社にとって頭痛の種。しかし「使い放題」で集客し、利用者に2年契約させたにもかかわらず、ある日突然、規約を盾に使い物にならなくなるほど強固な制限をかけてしまうのはいかがなものか……と言わざるを得ません。
また、旧ウィルコム、旧イー・モバイルが合併して立ち上げられたワイモバイルは今年4月にソフトバンクモバイルに吸収合併済み。その結果、ソフトバンクは日本で一番電波を割り当てられている会社となったわけですが、豊富な電波資産を抱えているにもかかわらず、大手3社で最も厳しい制限を課す姿勢についても気になるところです。
◆CA対応Pocket WiFi使い放題キャンペーン、延長決定
ちなみにワイモバイルは先日、5月10日で受付終了予定だった「CA対応Pocket WiFi使い放題キャンペーン」を当面延長することを発表。
キャンペーン情報ページには太字で「帯域制御の運用基準に関するガイドライン」に基づき、直近3日間のデータ通信量が約1GB以上の場合、通信速度が制御される場合があります」と記されていますが、ここまで利用者の不満の声が上がっている以上、速度制限がどれほどの内容になるのかなどを、もう少し実態に即して告知するべきではないでしょうか……。
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