東日本大震災、そして熊本地震を経て、一つ判明したことが、「どれだけ対策を進めていても、災害発生時に通信できない地域が発生してしまう」という点。
基地局の電源が断たれるだけでなく、基幹回線の切断や、基地局自体の損壊など、その理由はさまざまですが、そんな中でもEメールを配送できるようにするシステムをKDDI研究所が開発しました。詳細は以下から。
ワイヤレスジャパン2016のKDDI研究所ブースに展示されていた「無人航空機を活用したEメール配送システム」。
こちらは孤立地域向けのセット一式。被災者向けWi-Fi、バッテリー、サーバー、そして無人機向け通信装置一式が格納されています。
今回開発されたシステムの説明。孤立地域では上記のシステムとスマホをWi-Fi接続し、被災者がEメールを作成→送信。送信されたメールはサーバーに蓄積されます。
すると孤立地域上空に、非孤立地域からドローンが飛んできてサーバーと通信。非孤立地域へ戻ったあと、蓄積しておいたEメールをインターネット上に配信するという仕組みです。
こちらが実際に活用されるドローン。メッセージ集配装置を搭載しています。
集配装置の中身は汎用品のモバイルバッテリー、孤立地域に設置されたサーバーと通信するための装置、そして受信したデータを蓄積するための小型サーバー。
ドローンが持ち帰ったデータは、このようなメッセージゲートウェイを介してインターネット上に配信されるわけです。
今年2月に実際に行われたデモの様子を収めたムービーはこちら。
あくまで音声通話やデータ通信の復旧までの措置ではあるものの、ドローンを活用した新たなアプローチとなるEメール配送システム。被災地が数十キロメートル離れていても、地上道路などの復旧状況に関わらず対応できるとされています。