ソニーと東芝、日立の中小型液晶事業を政府主導で合併し、世界の有力プレーヤーと渡り合う……そんなコンセプトで生まれたにもかかわらず、赤字を垂れ流しながらAppleや中国のスマホメーカーに部品を供給する会社となりつつあるジャパンディスプレイ(JDI)に、転機が訪れようとしています。詳細は以下から。
ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、世耕弘成経済産業相がジャパンディスプレイについて、「アップルへの部品サプライヤーにとどまらない高付加価値の事業を打ち出せなければ、政府としてはJDIの外国企業との連携や売却もあり得る」という考えを示したそうです。
ジャパンディスプレイの筆頭株主は官民出資の投資ファンド「産業革新機構(INCJ)」ですが、2期連続で赤字が続いたことを受け、JDIはINCJに追加支援を要請中。そんな中で発せられたコメントである以上、今後を大きく左右するものであると受け止めざるを得ない状況となっています。
また、世耕経産相は「JDIの将来についてはまだ何も決まっていない」と指摘した上で、同社に対処する2つの可能性として、是が非でも日本が持ち続けること、またはコモディティ化した事業を国内にとどめておく必要が無いと判断すること(=国外への売却もありうること)を列挙。
INCJはシャープの液晶事業とジャパンディスプレイを統合させることを計画していましたが、鴻海精密工業によるシャープの買収で計画は頓挫。鴻海はジャパンディスプレイに対し、今後スマホで主流になるとされる有機ELの共同開発を進めるよう、秋波を送っています。
エルピーダやルネサスの例を見ても分かるように、あまり良い方向に向くことが少ない日本メーカーの事業分離・統合。もしジャパンディスプレイが外国資本に売却されるようなことがあった場合、それは日本の液晶メーカーが消えることを意味するため、今後に注目が集まります。
世耕経産相、ジャパンディスプレイ売却検討も=WSJインタビュー – WSJ