昨年の今日、11月23日にスライド式QWERTYキーボードを備えたスマートフォンの新機種が年間を通して「ゼロ」になったことをBUZZAPでお伝えしましたが、ついにテンキー付きのモデルを含め、キーボード搭載スマートフォンが全滅しました。詳細は以下から。
◆テンキー付きスマートフォンが「消滅」
BUZZAP編集部で2013年に国内発売済みおよび発売予定のスマートフォンを調べたところ、スライド式QWERTYキーボードに続いて、テンキーを備えたスマートフォンは1機種も無く、すべて画面上のソフトウェアキーボードで入力するタイプに統一されています。
また、かねてからNTTドコモが取り扱っていたキーボード一体型の「BlackBerry」シリーズについても、海外で新機種が発売済みであるにもかかわらず、今年から国内への投入が見送られる事態に。
物理キーボード搭載モデルが一切発売されないのは日本でスマートフォンが発売された2005年以来初のことで、本体の厚み・重量の増加、スライド部分の耐久性、大容量バッテリーを搭載しづらいことなどが主な理由であると考えられます。
最後に発売されたテンキー搭載スマートフォンはKDDIの2012年夏モデル「AQUOS PHONE SL IS15SH」。NTTドコモやソフトバンクモバイルは2011年冬モデルで投入を打ち切っており、ついにデュアルコア以上のプロセッサが搭載されたモデルは出ませんでした。
◆「キーボード付きスマートフォン」の役目は終わったのか
フィーチャーフォン(ガラケー)からの移行しやすさを理由に、わずかながらも新機種が発売されてきたテンキー搭載モデルすら新機種がゼロになってしまったわけですが、これはiPhoneのような「一般的な」形状のスマートフォンをエントリーユーザーでも受け入れるようになったことの現れだと考えられます。
また、昨今のエントリーユーザー向けスマートフォンはフィーチャーフォンライクなUIなどのアプローチを導入。つまり「ガラケーからスマホへの橋渡し」としてのキーボード付きモデルの役目は終わってしまったということのようです。
しかし特にQWERTYキーボード搭載モデルについては、文字の打ちやすさからSNSやテキストチャットなどでのコミュニケーションを多用するユーザーに優しく、さらにブラインドタッチもしやすいというメリットもあるため、このまま途絶えてしまうのは寂しいところ。
QWERTYキーボード難民にとって希望となりえたかもしれない、上画面を見ながら下画面で文字が打てる「MEDIAS W」も春に発売されましたが、NEC自体がスマートフォン事業から撤退してしまい、後継機が望めなくなってしまいました。
対応策として「外付けQWERTYキーボードケースを付ける」という手段もあるにはありますが、その場合は端末のラインナップが多すぎるために採算が取れず、アクセサリーメーカーからキーボードが発売されることが少ないAndroidではなく、iPhoneに乗り換えないと有効な選択肢が少ないのが現状です。
さらに筆者をはじめ、そもそも「最初からキーボードが搭載されていること」自体に意味があり、外付けうんぬんの論議はナンセンス……と考えているユーザーも少なからずいるわけですが、はたしてQWERTYキーボード搭載モデルに魅せられてしまった不幸なユーザーたちに救いの手が差し伸べられることはあるのでしょうか。
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