特色ある研究を行う大学に対して補助金を支給する「私立大学研究ブランディング事業」を文科省が始めたところ、いきなり加計学園系列の2大学が選定されたことが明らかになりました。詳細は以下から。
◆「私立大学研究ブランディング事業」とは?
まず確認しておきたいのが、文科省が展開している私立大学研究ブランディング事業の内容。学長のリーダーシップの下、大学の特色ある研究を基軸として、全学的な独自色を大きく打ち出す取り組みを行う私立大学に対し、施設費・装置費・設備費および経常費を一体的に支援するというものです。
地域で輝く大学などへの支援を目的とした「タイプA(社会展望型)」とイノベーション創出など経済・社会の発展に寄与する大学などへの支援を目的とした「タイプB(世界展望型)」の2つで構成され、各年度の申請は両タイプを通じて1大学1件限りで、タイプAは三大都市圏以外または8000人未満の中小規模大学に限定されています。
選定された大学に対しては、1校あたり年額2000~3000万円程度の経常費が最大5年間支給されるほか、施設や装置、設備に対しても補助金が出る場合があるとされているため、少子化で厳しい経営状況に立たされている私立大学にとっては、非常においしい事業です。
◆第1弾で選定された大学は40校、うち2校は加計学園
それでは文科省が公表した(PDFファイル)2016年度の選定状況から、タイプごとの選定状況を見てみましょう。
まずは129校が申請し、わずか17校が選定されるのみとなったタイプA。加計学園・千葉科学大学の『「フィッシュ・ファクトリー」システムの開発及び「大学発ブランド水産種」の生産』が選定され、5年間の予算が付いています。
続いて69校が申請し、23校が選定されたタイプB。「世界のエネルギー資源の礎となる近大バイオコークスのネットワークを活かしたブランディング」「人に届く 関大メディカルポリマーによる未来医療の創出」など実学案件がピックアップされる中、またしても加計学園・岡山理科大学の『恐竜研究の国際的な拠点形成―モンゴル科学アカデミーとの協定に基づくブランディング―』が選定され、5年間の予算が付いています。
ちなみにタイプA・B合わせた申請校は198校で、選定された大学は40校。早慶上智MARCH学習院、関関同立などの上位私大でも必ず選定されるわけでない中、偏差値が付けられないボーダーフリー・定員割れの学部学科を数多く抱える加計学園のみ系列の大学が2校選定される奇跡的な事態となっています。
千葉科学大学設立、岡山理科大学獣医学部棟建設にあたり、大きく問題となっている自治体からの補助金。加計学園に国や自治体から多額の補助金が支給される図式は本当に問題ないのでしょうか。