先ほど発表されたiPhone8およびiPhone Xが、3.5GHz帯をサポートしていることが明らかになりました。
「いち早くサービス展開を始めていたドコモ大歓喜」かと思いきや、そうもいかない事情があるようです。詳細は以下から。
◆高速通信を実現する「3.5GHz帯」をサポートしたiPhone XおよびiPhone 8
まず見てもらいたいのが、iPhone Xの日本向けモデル「モデルA1902」およびiPhone 8の日本向けモデル「モデルA1906」「モデルA1898」がサポートする通信方式及び周波数帯。今回新たに3.5GHz帯(バンド42)をサポートしています。
バンド42は各社とも40MHz幅(20MHz×2)が割り当てられたため、一気に通信速度を向上させることができ、特にいち早く3.5GHz帯での通信サービスを提供したドコモでは、新型iPhoneが対応する最大通信速度(最大800Mbps)に近い、下り最大788Mbpsの高速通信を実現することができます。
これだけだと「ドコモ大勝利」という話に思えますが、一方で問題となるのがiPhone 7/7 Plusで初めてサポートされた日本国内専用の「1.5GHz帯(バンド11、21)」が再び外されたという部分。なお、以下の表はiPhone 7シリーズの対応バンド一覧です。
◆結局各社が被るメリット、デメリットは?
・NTTドコモ
他社に先行して整備してきた3.5GHz帯を使った高速通信が提供できる一方、他社と比べて整備に力を入れ、メイン周波数帯の1つとしてきた1.5GHz帯が再びiPhoneで使えないように。
iPhone 7発表当時にドコモが行ったネットワーク説明会のスライド。1.5GHz帯に対応したことで全国でより快適に通信できるようになったとアピールしていました。
3.5GHz帯は速度が出るものの建物の中などにとても弱く、1つの基地局でカバーできるエリアが1.5GHz帯よりも狭くなるため、カタログスペックで書ける最高速度こそ上がるものの、速さを実感できるエリアが1.5GHz帯を使えるiPhone 7より広くなるかどうかについては疑問が残ります。
・au
1.5GHz帯を2014年以前に発売したLTE端末およびごく一部のWi-Fiスポットのバックボーン向けにしか利用しておらず、同帯域が実質iPhone 7専用となっていたau。iPhone XおよびiPhone 8でそのようなアドバンテージは提供できなくなったものの、もともと1.5GHz帯の整備に力を入れてきたわけではないため、ドコモほどダメージはないのかもしれません。
また、ドコモの3.5GHz帯と同じ40MHz幅&3.5GHz帯より若干障害物に強い2.5GHz帯で運用されている「WiMAX 2+」がすでに全国展開を終え、256QAMおよび4×4 MIMOの組み合わせで9月1日から順次下り最大708Mbpsへと増速されていることから、3.5GHz帯を本格整備する前であっても、高速通信を利用できるエリアの広さで戦うことができそうです。
・ソフトバンク
ようやく今年3月末に1.5GHz帯での3Gサービスの提供を終え、LTEへ切り替える体制を整えたソフトバンクは、iPhone XおよびiPhone 8登場によって出鼻を挫かれる形に。
同社はかつて同帯域を「ソフトバンクWi-Fiスポット」のバックボーンとして活用していましたが、わざわざLTEに切り替えた上で再び活用するつもりはあるのでしょうか……?
帯域幅が広いため、カタログスペックでの最高速度をアピールする上で有利な一方、2.5GHz帯(Band 41)を用いた「WiMAX」「AXGP」よりもさらにエリアが狭く、整備するには相当のコストがかかるとみられる3.5GHz帯(Band 42)。
新型iPhoneの登場は、携帯各社のBand 42整備の呼び水となりうるのでしょうか。
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