今年2月から世を騒がせている森友学園、加計学園問題。国民の財産である国有地が不自然なほど安く売り渡されたり、需給を無視した偏差値30台の大学による獣医学部新設に100億円を優に超える巨額の補助金が交付されるなどしたことについて政府から十分な説明は行われておらず、半年が経過した今でも事態は収拾していません。
そんな中、まとめブログやYouTubeでは、なぜか追及する側の野党を親の敵であるかのように叩き、国有地売却を決める権限などない野党議員が黒幕であるかのようなデマまで流されていたわけですが、その背景にはとんでもない構造がありました。詳細は以下から。
まず見てもらいたいのが、現在SNSを中心に拡散されている画像。業務をアウトソーシングするサイト「クラウドワークス」で募集されていた「保守(反民進・嫌韓)系まとめブログサイトの運営管理」という案件についてのものです。
仕事の流れは「嫌韓・嫌中・反民進・反日」などのニュースや記事を探し、キャッチーなタイトルを付けてニュース記事本文を貼り付け、ツイッターのつぶやきを埋め込むというもの。参考サイトとしてつい先日、全く罪のない番組制作会社を「反日」としてあげつらい、関係各所に多大な迷惑をかけた「アノニマスポスト」などが挙げられています。
記事単価は1本50円で、1日5記事を30日間上げれば月額7500円も手に入ります。
2017年9月22日11時現在で掲載中の案件だと、「政治・芸能系時事ネタ動画を1本50円で作成する」というものも。
【3分程度の動画一本につき\50】時事ネタ(政治・芸能…の依頼/外注|動画作成・動画制作の仕事 [ID:1618676]
参考として挙げられているYouTubeの投稿者はこんな感じ。どうやら「政治ネタ」とは自民党に批判的な勢力を叩き、自民党とトランプ大統領を持ち上げる動画を指すようです。
政治ニュース・オンライン – YouTube
また、こちらの人物が見つけたクラウドワークスの案件では……
ロジ??さん: “「共産党に票を入れる人は反日」というブログ記事を書けば一件につき800円の報酬がもらえることが判明。”
憲法9条改正や韓国との国交を断つべきといった自称・保守界隈にありがちな内容に加えて「石破さんは首相候補として相応しくない」という記事が依頼されています。
「共産党に票を入れる人は反日」「民進党や共産党に与する記事は採用しない」とのこと。「反日」という言葉が便利に用いられすぎている感は否めませんが、要はそのような切り口で記事を書けということのようです。
このような事態となったことを受け、クラウドワークスでは政治系ブログ記事作成案件の掲載中断を発表。しかし前述のような政治ネタ動画作成依頼の案件は残っているなど、実行力が伴っているかどうかには疑問が残るところです。
政治系ブログ記事作成案件の掲載中断に関しまして | クラウドワークス 運営チームのブログ ? 個人の新しい働き方を!?
野党叩きの記事や動画が数十円という単価で発注され、受注した側が利益を得るため今なおひたすら量産し続けていることを考えると、なんともいえない気持ちになる今回の一件。
そういえば森友学園問題が発覚した当初、「安倍首相ガンバレ!安倍首相ガンバレ!と称える幼稚園児」など、確実にアクセスが狙えるアレな映像が出回っていたにもかかわらず、アクセスのためなら何でもする大手まとめブログが与党を一切批判せず、ひたすら民進党を叩く記事をアップし続けていましたが、あれは一体どのような理由によるものだったのでしょうか。