サイバー攻撃への対策に「技適を強化する」という、実効性にかなり疑問のある方法を模索し始めた総務省が、今度は観光客などに向けた公衆無線LANの規制を強化します。詳細は以下から。
産経新聞社の報道によると、総務省は公衆無線LANスポットに関する規制を原則として強化する方針を固めたそうです。
これはパスワード不要の公衆無線LANスポットに接続した際、クレジットカードなどの重要な情報が悪意ある第三者から盗み見される可能性があるほか、サイバー攻撃に利用されるおそれがあることを受けたもの。
今年度中に有識者会議で課題をまとめ、来年度に公衆無線LAN事業者向けのガイドラインを改定する予定で、パスワード不要のスポットは原則として提供しないよう呼びかけるとのこと。
しかし観光客誘致などの目的で「使いやすい環境を整えたい」という要望もあることから、一律で規制を強めるのではなく、地域や目的などに応じて規制を調整し、安全性と利便性の両立を図る方策を検討するとしています。
クレジットカード情報などを守るためには「閲覧しているサイトがSSL/TLSといった暗号化通信に対応しているかどうか」が重要であり、通信無線LANスポットのパスワードの有無とはまた別の次元の話である……ということが今ひとつ理解されていない感のある今回の規制に関する議論。
「通信事業の監督官庁が実は通信を理解していない」というのはシャレにならないわけですが、はたしてどれだけサイバー攻撃や情報漏洩に実効性のある対応策が生み出されるのでしょうか。