実際に何らかの大々的な支援が行われているわけでないにかかわらず、LGBTを「生産性がない」「性的嗜好(※正しくは『指向』ですが、意図的に杉田氏は使い分けています)」などと断じ、「LGBT支援の度が過ぎる」と切り捨てた杉田議員。
日本文学研究者のロバート・キャンベル東大名誉教授が自らを同性愛者だと公表した上で批判するなど、今なお波紋を呼んでいますが、少し見てもらいたいものがあります。詳細は以下から。
これは8月1日付けで自民党公式ページに掲載された、LGBTに関する同党の考え方。
杉田議員の寄稿について、理解不足や配慮を欠いた表現があったとして、指導した旨を告知しています。
今回の杉田水脈議員の寄稿文に関しては、個人的な意見とは言え、問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現があることも事実であり、本人には今後、十分に注意するよう指導したところです。そんな自民党が同じページの中で紹介しているのが、LGBTに対する自民党の考え方。
「同性愛って、ちょっとついていけないなあ これは多くの方の率直な意見かもしれません」と、いきなり関係者への配慮を欠いたジャブをお見舞いしています。「多くの人はそう思っているかもしれない」と掲げれば何を言っても許されるわけではないでしょう。
「このようなテーマについても目を背けることなく、正面から向き合って多様性を受け入れる社会を目指していくべきと考えます」と結ぶ自民党。次のページを見てみると、理解増進を図りつつ当事者が抱える困難の解消を目指し、カムアウトする必要のない社会を目指すとしています。
しかし同性婚は認めず、同性パートナーシップ制度も慎重な検討が必要と明言。結婚に準ずる制度がないからこそ、老後になって相続や手術の同意書へのサインなどで困るLGBTカップルが数多く生まれているわけですが、「当事者が抱える困難の解消」とは一体……
さらに「政治的に利用しかねない団体の影響に対して細心の注意を払う」とのこと。なお、もともとLGBTを言いがかりに近い形で槍玉に挙げて政治利用したのは杉田議員その人です。
極めつけがQ&Aに載っている最後の質問。どういう層をターゲットにしたQ&Aなのでしょうか……
同性婚や同性パートナーシップ制度を認めず、政治的な利用に細心の注意を払い、その上で「当事者が抱える困難の解消」を図ることを目指すという、よく分からない縛りをLGBTに課す自民党。
しかし7月に可決された民法改正案で定められた、相続人以外の人物が介護などで一定の貢献をした場合、遺産分配を求められるようにする「特別寄与」対象者を「無償の労務を提供した人であれば親族に限らない」でなく「2親等以内の親族に限る」とするよう強固に主張し、同性カップルを排除したのは他ならぬ同党です。
「当事者が抱える困難の解消」とは一体何なのかとつくづく聞きたくなる内容ですが、80年代から性的少数者の暮らしや老後のサポートなどに携わってきた永易至文氏が、以下の記事で経緯などを詳細に解説しています。
日本は法律でいつまで同性パートナーへの差別を固定化しつづけるのか