「生産性がない」「性的嗜好(※正しくは『指向』ですが、意図的に杉田氏は使い分けています)」と断じ、実際に何らかの大々的な支援が行われているわけでもないのに「支援の度が過ぎる」と切り捨て、野党やメディアを叩くためにLGBTを政治利用した杉田水脈議員。
大炎上して以来、自分を肯定してくれる人々の集会に顔を出すだけで、公の場で自らの見解についてコメントすることを避けていますが、「若いから不処分」というビックリ理論で杉田議員をかばう自民党のLGBTに対するスタンスがより明確になりました。詳細は以下から。
◆「党の考え方」として同性婚などを認めない自民党
まず見てもらいたいのが、8月に更新された自民党公式ページ。寄稿を「理解不足や配慮を欠いた表現があった」として杉田議員を指導した旨を告知しています。
そんな自民党が同じページの中で紹介しているのが、同党のLGBTに対する考え方。
「同性愛って、ちょっとついていけないなあ これは多くの方の率直な意見かもしれません」と、いきなり関係者への配慮を欠いたジャブをお見舞いしています。「多くの人はそう思っているかもしれない」と掲げれば何を言っても許されるわけではないでしょう。
「このようなテーマについても目を背けることなく、正面から向き合って多様性を受け入れる社会を目指していくべきと考えます」と結ぶ自民党。
次のページを見てみると、理解増進を図りつつ当事者が抱える困難の解消を目指し、カムアウトする必要のない社会を目指すとしています。
しかし同性婚は認めず、同性パートナーシップ制度も慎重な検討が必要と明言。根拠として「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」と定めた憲法24条を挙げています。
さらに「政治的に利用しかねない団体の影響に対して細心の注意を払う」とのこと。繰り返しになりますが、LGBTを言いがかりに近い形で槍玉に挙げて政治利用したのは杉田議員その人です。
極めつけがQ&Aに載っている最後の質問。「何を言っているのか」レベルですが、「ちょっとついていけないなあ」といい、自民党の率直な見解なのかもしれません。
◆自民党の憲法改正案、憲法24条の扱いは?
同性婚はもちろん、同性パートナーシップ制度すら慎重な姿勢を示す根拠として憲法24条の「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」を掲げる自民党。
そこでBuzzap!編集部で、同党がかねてから掲げている憲法改正草案をチェックしてみると……
そこには何一つ変わらない「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」という文章が掲載されていました。つまり「憲法が原因で同性婚を認められない」などというわけでなく、そもそも同性婚を認めるつもりがないわけです。
たとえ憲法を改正しようと同性婚や同性パートナーシップ制度を認めるつもりはなく、政治的な利用に細心の注意を払い、その上で「当事者が抱える困難の解消」を図ることを目指すという、よく分からない縛りをLGBTに課す自民党。
以前Buzzap!でLGBTに対する同党の考え方をお伝えしたところ、以下のようなコメントが寄せられましたが、憲法改正案を見る限り、そう受け止められても仕方がありません。
「カムアウトする必要のない」とか、結局のところ同性婚も婚姻関係に相当する制度を何も用意しない方針からして、「黙ってろ」というメッセージにしか見えないんだけどな。 / “「LGBTは性的嗜好、支援不要」の杉田水脈議員を指導した自民…” https://t.co/IVs99fwIjm
— わんおぺまむ@本当に寝ていたい (@OneopeMam) 2018年8月17日
「党の考え方」を要約すると、「自民党はLGBT問題について何もしないが、問題の『政治利用』は懸念する」となる。杉田の主張とほとんど同じで、違いは「生産性」のようなキャッチーな言葉がないこと。 / “「LGBTは性的嗜好、支援不要…” https://t.co/69ACbLvwe6
— questiontime (@questiontime_bm) 2018年8月15日
結婚に準ずる制度がないからこそ、老後になって相続や手術の同意書へのサインなどで困るカップルが数多く生まれているLGBT。
しかし相続人以外が遺産分配を求められる新制度「特別寄与」対象者を「無償の労務を提供した人であれば親族に限らない」でなく「2親等以内の親族に限る」とするよう強固に主張して同性カップルを排除するなど、今なお自民党は「当事者が抱える困難の解消」と真逆の対応を進めています。
【「LGBTは性的嗜好、支援不要」の杉田水脈議員をかばう自民党、憲法改正しても同性婚を認めるつもりはありませんでした】を全て見る