東京オリンピックをはじめ、さまざまな大規模イベントで活躍できそうな警備用スマートドローンをKDDIとSECOMが開発しました。
単なる警備用にとどまらず、未来に希望が持てるような分野への応用も期待できそうです。詳細は以下から。
◆オリンピックなど大規模イベントに向けて重要になってくる「スタジアム警備」
本日都内で行われた説明会の様子。イベントの有無やイベント入退場時、開催中など、シチュエーションに応じて混雑するエリアや状況が大きく変わるため、固定式の監視カメラでは監視に限界がありました。
そこで今回、KDDIとSECOMはさいたまスタジアムで「俯瞰ドローン」「巡回ドローン」を組み合わせた実証実験を展開。
俯瞰ドローンで全体を見渡し……
不審者がいた場合、巡回ドローンで追尾します。
各ドローンはAIを使うことで、スタンドアローンで動作。
バックボーンにWi-Fiでなく4Gを使うことで、通信エリアを気にすることなく展開できるため、将来的にドローンを駆使したセキュリティタウンすら構築可能です。
さらに5Gを使えば、4K・8Kの高精細映像をリアルタイムで伝送できるように。オリンピックなどでの導入が期待されますが、「会場でドローンを飛ばせない」という規制があるため、今のところ採用可否については明言できないとのこと。
◆KDDIがスマートドローンで目指すもの
バックボーンに4G/5Gを使った「スマートドローン」の活躍する領域を広げていきたいKDDI。
機体はもちろん3次元地図や運行管理、気象、インフラ/クラウドをパッケージングし、さまざまな分野にトータルソリューションとして売り込むことを目指しています。
LTEを使った完全自律飛行実験(2017年4月)、三次元地図とドローンポートを利用したLTE長距離完全自律飛行実験(2017年11月)、複数ドローンを活用した広域警備(2018年3月)、富士山でのドローン山岳救助支援実証実験(2018年11月)など、国内初/世界初の実証実験も次々とクリアしてきました。
ドローンを自律飛行させるにあたって大事なのは「AI」「電波・気象・地図連携機能」「運行管理システム」。
上空の電波、天気および風況、3次元地図を組み合わせることで「強い風にあおられて墜落」などの事故を避けることも。また、警備したい建物に気象センサーを配置すれば突風などにも対応した、より精度の細かい運行管理が可能になります。
今回さいたまスタジアムで行われた実証実験はこんな感じ。
ドローン同士の連携も可能なため、巡回ドローンを増やせばその分だけ緻密かつ広範囲な警備が可能になります。
◆ドローンの外見をチェック
これが実証実験に使われた巡回ドローン。
機体重量20kgと、なかなかの大きさです。
通信モジュールは機体上部にあります。
こちらはGPSアンテナ
CPUだけでなくリアルタイム映像処理用のGPUも搭載。完全に「空飛ぶロボット」です。
最大1080/60pのライブ配信が可能な「LiveShell X」を採用しています。
正面には自動運転を意識した各種センサー
本体下部に光学ズーム対応の高画質カメラを実装。AIと組み合わせることで侵入者を特定することができます。
侵入者に警告を発するためのスピーカー。
各プロペラはトラブルがあった時に墜落しないよう2枚ずつ。
収納時にはアーム部分を折りたたむことができます。
◆警備用にとどまらない、幅広い用途も
開発を担当したKDDIのスタッフに「侵入者要撃用にカラーボール射出機を付けたりもできますか?」と聞いてみたところ、「APIを叩けるものであれば何でも取り付けられる」とのこと。
AIを使って特定の対象物を学習させることもできるため、「機器の故障部分を見つけてピックアップする」「災害時にどこに孤立している人がいるのかを上空から画像認識で特定、詳細な位置情報を貼付してリスト化」といったことを自動で行えるようになるわけです。
将来的にはスマートドローンで培った技術を農作業機械などと組み合わせることで、「自動運転で田畑を耕す耕運機、肥料や農薬を自動散布するドローン」といったソリューションも実現可能に。
いつか食糧問題を解決できる日が訪れるかもしれないなど、未来に希望が持てる研究となっています。
国内初、人物検知可能なスマートドローンによるスタジアム警備の実証に成功 | 2018年 | KDDI株式会社
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