NTTドコモが次世代通話サービス「VoLTE」を展開することが明らかになりました。以下から。
◆VoLTE展開を表明したNTTドコモ
ドコモ、今夏にも次世代通話サービス 音質、格段に向上:朝日新聞デジタル
朝日新聞社によると、NTTドコモの加藤社長が「VoLTE(ヴォルテ、Voice Over LTE)」を年内に開始することを表明したそうです。
加藤社長は「冬商戦より早い時期に(対応した新端末を)出す可能性がある」とコメントしており、サービスの利用にあたっては新端末が必要とのこと。
◆現行の通話サービスとVoLTEの違いは?
突然VoLTEと言われてもピンとこない人が多いと思われますが、現行の音声通話サービスの違いをざっくりと説明するとこんな感じ。
現行:3Gネットワークで回線交換方式を利用して通話
VoLTE:音声をデータ化し、LTEネットワークのパケット通信網を利用して通話
回線交換方式は最も古くから存在する通信方式の1つで、相手までの伝送路を占有するため「安定した音質で遅延無く通話できる」という部分がメリットである一方、「音質が頭打ち」「電波の利用効率が悪い」といったデメリットがあります。
そしてVoLTEは電波の利用効率が高く、遅延も少ないLTEネットワークを利用することで「回線交換方式以上に高音質で遅延無く通話できる」「同様の方式を利用したSkypeやLINEといった無料通話アプリのように、通話料を大きく低減できる」といったメリットが期待でき、昨年6月にはVoLTEを活用した通話定額サービスをNTTドコモが2014年度に導入する方針であることも報じられています。
なお、電波の効率的な利用のため、LTEやWiMAX、WiMAX 2+、AXGP、TD-LTEといった次世代高速通信はデータ通信専用の通信方式として設計されており、仮にLTEスマートフォンなどで通話をする場合、いったん通信網をLTEから3Gの回線交換方式に切り替える「CSフォールバック(CSFB)」が必要ですが、VoLTEではすべてがLTEネットワーク単独で完結します。
◆VoLTEで最もメリットが得られるKDDIは急ピッチで準備中
今回報じられたNTTドコモ以外の大手各社もVoLTEの導入を計画していますが、とりわけ力を入れているように見えるのがKDDI。
同社が採用している3Gサービス「CDMA2000」にはNTTドコモやソフトバンクモバイルが採用している「W-CDMA」と異なり、データ通信と音声通話を同時に利用できないという弱点があるものの、VoLTEが導入されれば通話とデータ通信を両立できるようになります。
KDDIの2014年春モデル発表会で明かされた800MHz(プラチナバンド)LTEの整備状況。VoLTEで途切れず通話できるようにするためにはLTEのカバーエリア拡大が必須ですが、3月末には実人口カバー率99%を実現する予定。
VoLTE導入のために3Gと遜色ないLTEエリアの整備が実現すれば、3Gをサポートせず、LTEに特化したスマートフォンのリリースも可能になり、端末の製造コストを削減できるだけでなく、いずれは空いた3Gの周波数帯域をLTEに振り分け、さらに通信が高速になる……などの好循環も生まれるため、期待したいところです。