スマホやタブレット、パソコン、ゲーム機、音楽プレーヤー、デジタルカメラなど、身の回りの電子機器に用いられているリチウムイオン電池。
しかしスマホやタブレットなどの機器を中心にバッテリーの大容量化が進む一方で、充電速度が追いつかないケースは多々見受けられるわけですが、東大と京大が性能向上につながる技術を開発しました。
(PDFファイル)濃い液体が秘める新機能を発見、新世代の電解液へ -電池の充電時間が1/3以下に-
東京大学および京都大学、物質・材料研究機構が連名で行った発表によると、リチウムイオン電池の急速充電・高電圧作動を可能にするために、20年以上同一組成のものが用いられている「電解液」の材料に目を付けたそうです。
研究チームは従来の4倍以上となる極めて高い濃度のリチウムイオンを含む「濃い液体」を新規に開発。
「高濃度の液体は反応が遅く、電解液に適さない」という通説がありましたが、スーパーコンピュータ「京」を用いて作動メカニズムを解明した結果、この電解液を応用することで、従来の3分の1以下の時間で急速充電できることが判明しています。
また、急速充電への対応だけでなく、現状の3.7V(ボルト)を超え、電気自動車やスマートグリッドへの実用に耐えうる5V級の高電圧で作動するリチウムイオン電池も実現可能。
リチウムイオン電池が高性能化することで、太陽光など発電量が不安定な自然エネルギーの有効利用や余剰な夜間電力を貯蔵し、需給が逼迫する昼間ピーク時に利用する家庭用蓄電装置などもより現実味を帯びるとされており、広い分野での活用が期待されます。