複数の周波数帯を束ねることで高速化する、「LTE-Advanced」向けの技術「キャリアアグリゲーション」をKDDIが初めて導入することを発表しました。
◆KDDIが2014年夏モデルからキャリアアグリゲーション導入
KDDIのプレスリリースによると、同社は2014年夏モデルからLTEの次世代高速通信規格「LTE-Advanced」の技術、キャリアアグリゲーション(CA)を国内で初めて導入するそうです。
キャリアアグリゲーションは複数の周波数帯で同時にLTEのデータ通信を可能とするもので、最大150Mbpsの通信速度を実現。周波数の帯域を効率的に利用することで、より安定した高速データ通信環境を提供するとのこと。
なお、下り最大150Mbps対応の基地局はCA導入時点で約2500局(2.1GHz帯含む)で、2015年3月末には一気に全国約2万局に拡大予定となっています。
ちなみに携帯各社が現在利用できる主な周波数帯は800・900MHz、1.5GHz、1.7GHz、2.1GHz帯ですが、全国で下り最大150Mbpsサービスを展開できる(20MHz幅がある)のは2.1GHz帯のみ。しかし依然として3Gユーザーが多く、同周波数帯をすべてLTEに振り分けることは困難であるため、複数の周波数帯を重ねるキャリアアグリゲーション技術が重要となってくるわけです。
なお、KDDIはプラチナバンド(800MHz帯)を使った下り最大75MbpsのLTEエリアを実人口カバー率99%にまで拡大。そこに2.1GHz帯を上乗せすることで、広いエリアのみならずさらなる高速化を図ることができるようになります。
◆キャリアアグリゲーションの魅力を解説
本日都内で開かれた説明会において解説されたキャリアアグリゲーションの魅力。世界のモバイルネットワークはLTEへと移行しています。
LTE契約数はアメリカに続く世界2位。
下り最大144kbpsの「CDMA2000 1x」から10年、通信速度は150Mbpsにまで高速化。
プラチナバンドを用いたLTEエリア整備もほぼ完成しています。
特筆すべきが2.1GHz帯の整備状況。すでに実人口カバー率85%を達成しており、2015年3月末には90%を超える予定。
すべては来たるべき「LTE-Advanced」のためで、まずは要素技術の1つ「キャリアアグリゲーション」を導入しよう……というのが今回のKDDIの発表。
キャリアアグリゲーションのメリット。高速化に加えて、どちらかの電波が弱い場合でも、もう片方の電波で補完できる「周波数ダイバーシティ効果」によって、LTE通信がさらに安定します。
そして大きなメリットが、両方の周波数帯を同時に使うことで、ネットワークを効率的に利用できるという点。特定の周波数・基地局への通信の偏りを減らすことで、さらに快適に通信できるようになるわけです。
なお、キャリアアグリゲーションはまもなく発表されるであろう、2014年夏モデルから導入。
基地局を連携させるための整備を現在推進中。通信量が爆増する人口密集地での通信を担う「ピコセル」も順次対応していきます。
これにより150Mbps対応基地局がNTTドコモを大きく上回る約2万局に拡大。
今後もネットワークの進化を続け、2020年代に控えている「5G」に備えます。