ソフトバンクが2014年3月期決算発表会において、今春開始予定としていた「プラチナLTE(900MHz帯を用いたLTE)」の開始を遅らせることを明かしました。
登壇者はソフトバンク株式会社代表取締役社長 孫正義氏、代表取締役副社長 宮内謙氏、常務執行役員 財務、広報、IR、ブランド推進 統括 後藤芳光氏です。
夢の大切さを語る孫正義氏。
まずはNTT、トヨタ、ソフトバンクの3つを上げました。共通点はこの3社が唯一、営業利益が1兆円を突破したという点。中でもソフトバンクが最も早かったということをアピールしており、あくまでも通過点にしたいと自信を見せています。
好調なソフトバンクの業績。
純利益でもNTTドコモ、KDDIを抜く結果に。ソフトバンクの企業カルチャーである、持っている「思い」の強さが強みとしています。
続いては国内通信事業
4年連続純増数1位を獲得。契約数増加の背景として電波の改善を挙げ、電波を良くするには「周波数(許認可)」と「設備投資」をするだけで済み、他は何もいらないとしています。
増え続けるデータトラフィック。日本は月間2.9GBを通信する、世界に誇るデータ通信先進国です。
スマホのパケット接続率もソフトバンクがNo.1。
「重大事故無し」は1078日に。しかし今年1月に発生したケースのように、全国各地で謎の圏外報告が相次いでいるにもかかわらず、「ほぼ復旧している」と断言し、重大事故扱いしないという荒技も駆使した結果の数字です。
プラチナバンド基地局は3.2万局
LTE基地局は10万局に。ただし大半はエリアのカバー面積が狭く、細かく敷き詰めないといけない2.5GHz帯のAXGP向けで、プラチナバンド対応のものは計上されていません。
ソフトバンクの本業である、インターネット事業の様子。ヤフーは順調に伸びています。
そしてワイモバイルがまもなく始動
AmazonとeBayを合体させたような中国企業、アリババがまもなくアメリカで株式公開します。
ゲーム事業も好調。ガンホーに加えてSupercellも人気タイトルを続々と生み出しています。
スプリントの収益も改善。今後もソフトバンク流マネジメントで改善していく方針としています。
質疑応答の内容は以下。
東洋経済田邊:
スプリントの決算は改善ということだが、T-Mobileに契約者数で抜かれるおそれがあるのではないか?
孫:
心配はしていない。我々としては先にネットワークを拡充する必要があると感じている。そのツケが大きくきている。まずネットワークを再構築し、その後に営業活動をするほうが効率がいい。内部のオペレーションコストの効率化。今年の後半から純増に転じるようなマーケティングをしていく。
田邊:
アリババに投資した背景は?30%以上の議決権を保有するとのことだが、株は保持する?
孫:
2000年に中国を訪問した際、20社に会ったが、そのうち1社に投資をするのを即決した。それがアリババ。私のほうから出資をさせて欲しいという話で、なんとしても資本を受け入れて欲しいとして、20億出資した。非常に意気投合していて、その後の結果が生まれた。(アリババCEOの)ジャック・マーが伸びる予感を与えてくれた。
このような経緯があるため、今回のIPOで株を売却するつもりはない。深く良好な関係を保っていきたい。
日経コミュニケーション:
KDDIやドコモがキャリアアグリゲーションを導入するが、ソフトバンクは?やるならどの周波数?異免許人での間でのCAは難しいと思うが、AXGPを使うのか。900MHz帯のLTEはどうなった?
孫:
2番目から。900MHz帯はやっともらえた周波数。ドコモやKDDIは先行してサービス展開している。他事業者が15MHz幅を持っているが、今使えるのは5MHz幅のみ。10MHz幅については現在立ち退いてもらってる状態。代わりの機器などを用意するプロセスが必要だったが、説得がやっとほぼ終わった。最後の数社と手続きを行っている最中。メドは立ったがサービス開始は今夏になる。
?:
ドコモのデータシェアと音声定額についてはどう考えている?
孫:
これらは世界的な流れ。固定回線の圧倒的なシェアを持っているNTTはずるい。ドコモで通話定額をやっても自分のグループに収益が出る。無制限に音声定額を許していいのかという部分もある。しかし劣るようなサービスインをするつもりはない。
テレビ東京:
MVNOはどうするのか。MVNOが増えてきた場合に、低料金プランを自らが出す必要があると考えているのか。
孫:
MVNOは各社がかかるコストを考える必要がある。ドコモはユーザー数が一番多いため、回線コストが事実上一番安い。MVNOにとってはドコモの回線を安く調達するというのが理にかなっている。他社に対するコメントは控えたい。ケースバイケースで対応していきたい。ヤフーとの提携は事実上MVNOに近い。
テレビ東京:
SIMロック解除は?
孫:
(解除対応機種を)何機種か発表したが、実需は無かった。iPhone独占販売時はSIMロックについて話題となったが、今はApple自らが販売している。熱が冷めているのは実態ではないか。
フリー石野:
夏商戦の発表をやらない理由は?ラインナップを積極的に見せていかないようだが、どういう考え方からなのか。スマ放題の仕切り直しはいつ?
孫:
今まで「商品発表会」という形で年に2~3回行っていたが、今までは必要性があったと思うが、「iPhoneと数機種のAndroidスマホ」というのが今日。スマホ以外の機種は焼き直しになっている。
そんな中で発表会を行う必要があるのかという考えになっている。品ぞろえの数を競う時代は終わった。発表会という形式の役割は終わったのかという認識。今後見合わせる。スマ放題は1~2ヶ月以内を考えているが、ドコモの様子見をするかもしれない。
ブルームバーグ:
「携帯電話の価格を下げる」として参入したが、下げが鈍化していないのではないか。
孫:
月額4000円が980円になった。通話定額も導入した。我々が打ち出した料金革命によって、アメリカよりもARPUが下がった。日本はこの6年間でデータ通信量が1000倍に伸び、アメリカよりも安くなった。総務省の人々がスマホ料金を高いとしているのは全くの勘違いで即刻訂正していただきたい。日本は世界一LTE速度が速く、安い。
テレビ朝日:
アリババがアメリカで上場申請したことに関する感想は?
孫:
たいへんうれしく思っております。アリババは世界規模のインターネットカンパニーになった。株式市場で透明性を持ち、信頼感、安心感を得られるというのがIPOのプロセスで実現される。ユーザーにとっても投資家にとっても有益。ジャック・マーに出会えたことはとても幸運である。
TBS:
北米を軸にした今後の展望は?ドコモを抜いた感想は?
孫:
米国進出はまだ最初の段階。困難な段階ではあるけれども、確実に改善させていきたい。規模を拡大させることで本格的な競争がで切ると思っている。ドコモさんとの違いは意欲、ハングリー精神の違い。それは今後も続く。我々は成熟している日本の市場にとどまるのではなく、インターネットコンテンツやサービスとの融合も深めていく。内外共に伸ばしていきたい。