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ソフトバンクの「通信速度1位」のカラクリが明らかに

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全国の主要都市の広告看板やテレビCMなどで「通信速度No.1」をうたうソフトバンクですが、そのカラクリが検証の結果、明らかになりました。キーワードは同社が適用している「通信の最適化」です。

◆「通信の最適化」とは?
スマートフォンの普及に伴う通信量の増大によって発生するネットワークの負荷を軽減するため、ソフトバンクが2011年11月、KDDI(au)は2012年9月に導入したのが「通信の最適化」。
これはスマートフォンで以下のような形式のファイルを受信する場合、あらかじめネットワーク側で各種ファイルをスマートフォンの画面に適したサイズに画像を圧縮・変換するというもの。ちなみに圧縮されたデータは元に戻せません。
画像ファイル:BMP、JPEG、GIF、PNG形式
動画ファイル:MPEG、AVI、MOV、FLV、MP4、3GP、WebM、ASF、WMV形式
◆「通信の最適化」でデータはどれだけ圧縮されるのか
では、実際にそれぞれの携帯電話会社はユーザーがやりとりするデータをどれだけ圧縮しているのでしょうか。さっそく検証してみました。
検証に用いた端末はauの「Xperia ZL2(左)」と、ソフトバンク版の「iPhone 5s(右)」。先日速度比較および「3日間で1GB」超過時の速度比較に用いた端末です。

通信の最適化が行われているかどうかを検証する方法は簡単。おもむろにBUZZAP!の2014年夏モデルスマホカメラ比較記事を開いて……

記事内にある1200×900の拡大写真を保存するだけ。実際に圧縮されているのであれば、オリジナルのサイズと比べて変化が出ると思われます。

・通信速度制限適用前
それではまず、通信速度制限が一切課されていない状態のau、ソフトバンク回線で保存した画像のサイズを見てみましょう。au回線では一切圧縮が加わっておらず、オリジナル画像と同じサイズに。一方でソフトバンクは15%ほど圧縮されていることが分かります。
オリジナル、au:466,082バイト、ソフトバンク:396,031バイト(85%)

こちらはソフトバンクが1%増しに。おそらく圧縮アルゴリズムの関係で思うようにサイズが縮まなかったためと思われます。
オリジナル、au:578,034バイト、ソフトバンク:584,015バイト(101%)

20%以上の圧縮に成功した例。なお、いずれのケースでもau回線はオリジナル画像がそのまま表示されています。
オリジナル、au:251,211バイト、ソフトバンク:196,976バイト(78%)

・通信速度制限適用後
続いては通信速度計測アプリで「3日間で1GB」の基準を超える3.5GB(au回線)、2.6GB(ソフトバンク回線)を通信したことを受け、通信速度制限が適用されてしまった後のデータ量。
なんと上記の写真3枚を受信し直して検証したところ、auは相変わらず圧縮されておらず、ソフトバンクは同じ圧縮率のまま。つまりソフトバンク回線では通信速度制限の有無にかかわらず、常に画像が圧縮されていることになります。
他の画像もこんな感じ。基本的にauは非圧縮、ソフトバンクは70~80%台に圧縮されていました。
オリジナル、au:398,169バイト、ソフトバンク:344,892バイト(87%)

オリジナル、au:553,129バイト、ソフトバンク:559,234バイト(101%)

オリジナル、au:308,424バイト、ソフトバンク:266,309バイト(86%)

オリジナル、au:219,282バイト、ソフトバンク:174,530バイト(80%)

オリジナル、au:217,677バイト、ソフトバンク:173,457バイト(80%)

オリジナル、au:181,963バイト、ソフトバンク:140,074バイト(77%)

オリジナル、au:211,884バイト、ソフトバンク:157,596バイト(74%)

◆コンスタントに適用される圧縮、画質は劣化
なお、基本的に画像は圧縮すると劣化してしまうものですが、やはり気になるのは「どれだけ劣化するのか」という部分。さっそくいくつかの写真を比べてみることにしました。
まずは78%にまで圧縮された都庁写真の上部。あまり変化が無いように見えます。

しかしアルゴリズムの関係で101%に膨れてしまったこちらの写真では「アイフル」の看板付近が違うのが分かります。元のファイルより大きくなった上に、画質が劣化してしまうのであれば本末転倒な気がしなくもありません。

Xperia Z1の写真では「15:04」の文字やアイコン、背景がにじんでいます。もしスマホやタブレットでこの記事を読んでいるのであれば、拡大してみると分かりやすいのではないでしょうか。

メニューの文字周辺にも粒状のノイズが。

さすがに携帯電話会社が採用する圧縮機能だけあって、なるべく表示品質が劣化しないようになっていますが、「カメラの画質比較記事すらオリジナルと違う形で表示されてしまう」というのはあまり望ましくない話。上記の各種写真についても、ソフトバンクのスマホユーザーだけ圧縮されて見えている可能性は十分に考えられます。
また、導入自体をアナウンスしてはいるものの、積極的に通信の最適化を行っていないとみられるauの場合、ユーザーはお客さまセンターで最適化非適用の手続きを申請できますが、ソフトバンクについてはそのような案内も無いため、逃れる術はありません。
◆通信速度No.1は「通信の最適化」と「3日間で1GB規制」あってのもの
このように通信の最適化を積極的かつ最大限に活用しているソフトバンクですが、一般的に通信するデータ量を抑えればネットワークの負荷が下がり、通信速度が向上するため、同社のねらいはここにあると思われます。
さらに同社は3日間で1GB以上を通信したユーザーの通信速度を3G未満に引き下げる厳格な規制を実施中。(ソフトバンクの尺度で)ネットワークに負荷をかけたユーザーに対して、動画再生はもちろん、スピードテストすら許さないほど徹底して絞り込むなど、一切容赦しません。
3日間で通信量が1GB以上を超過した場合の比較。左がau回線(Xperia ZL2)で、右がソフトバンク回線(iPhone 5s)ですが、その差は歴然。テザリングが解禁され、スマホで4K動画を録画・アップロードできるようになった今、3日間で1GBを突発的に超えてしまうことは十分有り得るため、厳しすぎる規制の是非を問う声が高まりつつあります。
速度制限時にソフトバンク回線で動画視聴は困難 – YouTube

スピードテストが成り立たないほど速度を落とすソフトバンクの「3日間で1GB」規制 – YouTube

以上のことからソフトバンクが掲げている「通信速度No.1」は、ユーザーが通信するデータを有無を言わさず圧縮し、ネットワークに負荷を掛ける行為についても一切許さないという、徹底的な統制を行った結果として得られた数字であり、そのような数字を元に「他社よりも速い」と勝ち誇っているわけです。
渋谷駅にある速度比較広告。グラフや数字を根拠にした「通信速度1位」という看板の訴求力は絶大なものであると思われますが、ユーザーの自由度が制限されていることや、あまりフェアでない条件での比較であることに触れられることは、おそらく今後もありません。

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