携帯電話端末を特定の通信会社でしか利用できないようにする「SIMロック」が解除されることになりました。
◆SIMロック解除が義務化
SIMロック解除義務化の方針正式決定 NHKニュース
NHKの報道によると、本日開かれた総務省の有識者会議において、SIMロック解除の義務化が正式に決定したそうです。
これはSIMロックが割高な通信料金の一因になっているという指摘を受けたもので、今後は端末を購入してからロックを解除するまでの期間・解除する際に利用者に新たな費用の負担を求めるかどうかなどの具体的なルール作りを進め、年内をめどに内容をまとめる方針とされています。
なお、以下の内容は5月にBUZZAP!でSIMロック解除についてお伝えした際のもの。通信料が安くなる一方で、今までのようにハイエンドスマホを安価に購入できなくなる、メーカーの淘汰がさらに進む……といった可能性も考えられます。
◆手放しで喜べないSIMロック解除、スマホ本体はもっと高くなる?
日本の携帯電話会社は本来7~9万円近くするスマートフォン本体を24回などの分割払いで販売し、パケット定額プラン加入者には毎月の利用料金から「月月割」「毎月割」「月々サポート」などの名目で割引を行うことで、端末本体の実質価格を抑えるビジネスモデルが主流。
現行のビジネスモデルは総務省の指導によって携帯各社が2007年に導入したもので、高額な通信料金を原資にした「インセンティブ」で端末の販売価格を割り引くという旧来の方式が、同じ端末を長期間利用するユーザーほど損をするものだったことを受けたものでした。
しかし導入後、端末の買い替えサイクルが大きく伸び、さらに端末本体の価格が高額化したこともあって、2008年10月には携帯電話出荷台数が前年同月比5割以下にまで落ち込む事態に。その結果、三菱電機・三洋電機・日立・東芝などの国内メーカーが2010年までに携帯電話事業から撤退しています。
そしてもしSIMロックが見直された場合、携帯電話会社は端末代金と通信料金の分離をさらに進め、「今まで以上に端末代金が高額になる代わりに、月額料金を下げる」という方針にシフトせざるを得なくなると思われますが、その場合携帯電話販売数がより一層落ち込み、今度こそ国内携帯電話メーカーにトドメが刺される可能性もあるわけです。
また、日本人はハイエンド志向が強い上、比較的安価に購入できるグローバルモデルに対して興味を持たず、割高でも使い慣れたワンセグ・赤外線・おサイフケータイ(防水・防塵も)を備えた高性能機種を求める傾向にあるのが特徴。つまり多くの人々がイニシャルコストの増大に悩まされることになると思われます。
国内向け機能をおサイフケータイのみにとどめ、グローバルモデルに近い形で発売されたものの奮わなかった「Motorola RAZR M 201M」。同モデルにとどまらず、HTCやDELL、Huaweiなどの例を見ても分かるように、グローバル機を日本国内にそのまま持ち込んでもあまり売れない(ただしiPhoneは除く)のが日本市場なだけに、SIMロック解除後が気になるところです。