KDDIと住友商事が緊急記者会見を実施することが明らかになりました。発表会場からお届けします。
◆KDDIと住友商事がミャンマーの通信事業に参入
ミャンマー連邦共和国における通信事業への参入について | 2014年 | KDDI株式会社
KDDIおよび住友商事のプレスリリースによると、ミャンマー連邦共和国政府機関「ミャンマー国営郵便・電気通信事業体(Myanma Posts & Telecommunications、MPT)」との間で、共同で通信事業を行うことに合意し、契約を締結したそうです。
KDDIと住友商事はシンガポールに合弁会社「KDDI SUMMIT GLOBAL SINGAPORE PTE. LTD.」を設置し、KSGSがミャンマーに子会社のKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd. (以下「KSGM」) を設立。KSGMとMPTは、事業協力や利益分配などを規定した本共同事業に係る契約を締結し、KDDIと住友商事はKSGMを通じて共同事業を行うとしています。
なお、ミャンマーは約6500万人の人口に対し、携帯電話普及率は約10%。
KDDIと住友商事は、KDDIの総合通信事業者として国内外で培った経験や技術力と、住友商事のミャンマーにおける60年以上にわたる実績と海外での通信事業で培ったノウハウと経験を活かし、通信インフラの整備を通して、モバイルと固定通信サービスにおいて世界最高水準の品質を誇る「日本品質」のサービスを提供。
また、コールセンターや店舗におけるカスタマーサービスにも注力し、お客さま満足度の向上を図るとしています。
◆緊急記者会見の内容
登壇者はKDDI株式会社 代表取締役執行役員専務 石川 雄三氏、住友商事株式会社 代表取締役 副社長執行役員 佐々木 新一氏です。
参入までの沿革。ミャンマーは政府は外資系企業2社に新規ライセンスの提供を2013年6月に行いましたが、KDDIは落選。情報通信省傘下の独占キャリア「MPT」と共同で事業を運営することになりました。
ミャンマーの携帯電話普及率はわずか10%。CAGR(年平均成長率)92%という猛烈な勢いで携帯電話加入者が増えている、ラストフロンティアです。
KDDIと住友商事がシンガポールに設立する合弁会社「KDDI SUMMIT GLOBAL SINGAPORE PTE. LTD.」
住友商事の佐々木氏による解説。60年にわたってミャンマーで事業展開。ライフラインに加え、海外企業の参入などにも欠かせない通信網の整備などにも取り組んできました。
ミャンマー市場の可能性。今はまだ10.5%しか携帯電話が普及していませんが、政府は2016年までの3年間で約4750万契約を増やし、普及率を8割にする目標です。
ミャンマー最高のオペレーターを目指し、モバイルだけでなく固定回線も整備へ。モバイルのエリア整備には2000億円を投じます。
駐日ミャンマー連邦共和国大使 キン マウン ティン氏が登壇。同国参入への期待を述べました。
公開されたイメージビデオ。「MOVING MYANMAR FORWARD」がキャッチコピーです。
KDDIと住友商事がミャンマーの携帯電話事業参入イメージビデオ – YouTube
◆質疑応答
時事通信橋本:
合弁会社でなく共同事業ということだが、どう違うのか。この2社で新たな通信網を整備するということだが、2000億円は携帯のみ?通信方式は?
住友商事佐々木:
MPTは国営会社であるため、合弁会社を作れません。今回のビジネスモデルはそのためです。実際はほとんどジョイントベンチャーとほとんど変わらないと思っていただいて構いません。
KDDI石川:
設備投資につきましてですが、現在のところは固定とモバイルを合わせた額です。現在は2Gと3Gが混在しており、ベースバンドが900MHz帯で、GSMを使っているため、データ通信が普及するにはまだ時間がかかります。3Gで都市部のデータ通信の需要をまかなう考えで、市場の成長を踏まえてLTEも視野に入れたい。近い将来周波数が割り当てられたら積極的に検討していきたい。
毎日新聞横山:
共同事業はすぐスタートできるようなもの?新規事業者が来る中で、どれくらいのシェアを取っていくつもりなのか。
KDDI石川:
すぐスタートできます。契約締結前に一緒になってどういうオペレーションが必要なのかは協議してきた。シェアは現在100%でございますので、確かに強敵は強敵ではございますが、海外事業での経験は持っておりますし、一定程度のトップシェアは数年後も取らなきゃいけないと思っていますし、そのためのフォーメーションやキャパシティがある。
NHK:
国内事業を鑑みてミャンマーに投資する背景は?2000億円はどういう期間で投入されるのか
KDDI石川:
当たり前ではありますが、長い目で見れば人口が少なくなっていく中、そんな大きな成長はできないと思っておりまして、海外に目を向けることが必要だと思っています。アジア地域はグローバル展開する中でも強化地域で、携帯電話普及率の低いミャンマーへの参入は意味が大きい。
通信というのは国民の利便性や楽しさなど、生活を豊かにするファンクションを持っているため、ミャンマーの国民の方々に提供したいということを強く意識して参入した次第です。具体的な数字は申し上げられないが、急速なエリア展開のために初年度、2年目はそれなりに大きな投資になると思っています。
日経河野:
参入してどれくらいで利益になるのか、社内での参入の是非はどうだったのか
KDDI石川:
かなり早いタイミングで黒字化できると見込んでいます。成長のまっただ中にいる市場なので、ご理解いただけると思っている。参入の是非についてはカントリーリスクなどの調査を行った上で、確信を持ってやってきました。
フリー石野:
現在のARPUはどれくらいで将来の目標は?国内では端末・SIMカードを含めたセットで事業展開しているが、ミャンマーではどうするのか。
KDDI石川:
具体的な数字は言えませんが、南アジアでは3~4ドルだったりするが、東南アジアではもっと高い。普及が進めばARPUはどんどん下がるとみて事業計画を立てているが、3Gや4GへとシフトすればデータのARPUが上がる。事業計画としては堅めです。
現在では端末とSIMが分かれて提供されている状況です。MPTはSIMのみを提供していますが、「SIMと端末のセットで便利に使える、簡単に手に入る」といったモデルを施行したいとも考えている。商習慣を加味した上で進めたい。
なお、記者会見後のぶら下がりによると、ミャンマーでは音声通話、SMS利用が中心であるため、第2世代携帯電話「GSM」を引き続き展開するとのこと。しかし都市部ではiPhoneなどのスマホを利用するユーザーも増え始めているため、3G網の整備に合わせて日本の3Gスマホのリユースなども視野に入れるとされています。