総務省がUQコミュニケーションズに2.5GHz帯の電波を20MHz丸ごと追加で割り当てることに対し、ソフトバンクの孫社長がアンフェアであり、KDDIが天下りを受け入れていることによるものだと主張していますが、はたして本当に不公平なのでしょうか。
携帯電話各社が保有する周波数帯と帯域幅をまとめた上で検証してみました。
◆携帯各社が割り当てられている周波数帯と帯域幅は?
携帯電話サービスを提供するにあたって、「つながりやすさ」に周波数帯が大きく関係することは以前BUZZAPでお伝えしましたが、もう一つ重要なのが「帯域幅」。
同じLTEサービスでもエリアごとに最大通信速度が異なるのは、携帯電話会社がLTE用に振り向けている帯域幅によるもので、iPhone 5などの「UE Category 3」対応スマートフォンでは5MHz幅で下り最大37.5Mbps、10MHz幅で下り最大75Mbpsとなります。
本日の追加割り当てを踏まえた、各社の割り当て状況は以下。
・NTTドコモ
700MHz帯:10MHz×2
800MHz帯:15MHz×2
1.5GHz帯:15MHz×2
1.7GHz帯:20MHz×2
2.1GHz帯:20MHz×2
計:160MHz
備考:700MHz帯は2015年から利用可能、1.5GHz帯は2014年3月までMHz幅運用、1.7GHz帯は東名阪限定
・KDDI
700MHz帯:10MHz×2
800MHz帯:15MHz×2
1.5GHz帯:10MHz×2
2.1GHz帯:20MHz×2
計:110MHz
備考:700MHz帯は2015年から利用可能
・ソフトバンクモバイル
900MHz帯:15MHz×2
1.5GHz帯:10MHz×2
2.1GHz帯:20MHz×2
計:90MHz
・イー・モバイル
700MHz帯:10MHz×2
1.7GHz帯:15MHz×2
計:50MHz
備考:700MHz帯は2015年から利用可能
・UQコミュニケーションズ
2.5GHz帯:50MHz
・ワイヤレスシティプランニング
2.5GHz帯:30MHz
備考:うち10MHzは2015年から利用可能
◆保有する帯域幅が最も多いのは依然としてソフトバンクグループ
上記では割り当てられた帯域幅が最も多いのはNTTドコモとなりますが、資本関係を元にUQコミュニケーションズ(UQ)をKDDIグループ、イー・モバイルとワイヤレスシティプランニング(WCP)をソフトバンクグループとしてカウントした場合、事情は大きく変わり、ソフトバンクが最も多く電波を割り当てられているという結果に。
NTTドコモ:160MHz
KDDIグループ:160MHz
ソフトバンクグループ:170MHz
さらに2013年6月末時点(イー・モバイルのみ2012年度末時点)での各社の帯域幅あたりの契約数を算出すると、NTTドコモの逼迫っぷりが顕著になります。
NTTドコモ:1MHzあたり約38万5000契約
KDDIグループ:1MHzあたり約26万6000契約
ソフトバンクグループ:1MHzあたり約23万契約
◆WCPに追加で割り当てることこそ不公平ではないのか
UQだけ20MHzが積み増しされることになるため、一見不公平に見えなくもない今回の割り当て。
しかしながらWCPが提供する「AXGP」は基本的にソフトバンクの3Gと組み合わせて提供され、新たに発売される「Pocket WiFi 203Z」「Pocket WiFi GL09P」からはイー・モバイルのLTEも組み込まれるなど、UQとは異なり、サービスが単独で提供されることはほぼありません。
2.5GHz帯の電波は建物の中などに弱く、ユーザーの利便性を考えれば3Gなどとの組み合わせは妥当と思われますが、言い換えれば携帯各社はグループの電波資産をフル活用したサービスで勝負を仕掛ける時代へと突入しており、それぞれの会社単独に対する割り当て状況で公平・不公平を論じるべきではなく、グループ全体で比較するのが適当と考えられます。
ちなみにWCPの要望が通っていた場合、各社の割り当て状況はこんな感じに。今回の割り当てと比較すると、ただでさえ最も多く割り当てられているソフトバンクがさらに伸び、ライバルのKDDIが落ち込むという、ソフトバンクにとって非常に都合のいい内容となりますが、こちらは「不公平」ではないのでしょうか……?
NTTドコモ:160MHz
KDDIグループ:150MHz
ソフトバンクグループ:180MHz
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