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実は新機種も料金もギリギリ、ワイモバイル立ち上げの舞台裏をさぐってみた

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ウィルコム、イー・モバイルブランドが今月いっぱいで終了し、8月1日から新たに立ち上がる「ワイモバイル(Y!mobile)」。
しかし新機種や料金プラン、さらにはギリギリとなった正式発表時期を見ていると、直前までドタバタしていたことが見てとれるわけですが、その舞台裏を探ってみました。

◆明らかに「間に合っていない」新機種たち
今回発売された端末はスマホ2機種、PHS4機種、Wi-Fiルーター1機種の計7機種。

数だけ見れば立ち上がりを飾るのに十分なようにも思えますが、よくよく見ると旧ウィルコムのPHS回線、旧イー・モバイルの3G・LTE回線に対応したモデル……と、明確に線引きされており、双方の回線に対応するなど、本来ワイモバイルに期待されているであろう、合併のシナジー効果が生かされた機種は出ていません。
昨年夏に発売されたウィルコムのPHS、ソフトバンクの3G、ワイヤレスシティプランニングのAXGP対応スマホ「DIGNO DUAL 2」。てっきりワイモバイル発表に合わせ、「音声通話はPHS・データ通信は旧EMOBILE LTE」といった新機種が出るのかと思いきや、そんなことはありませんでした。

これは毎年新型iPhoneが発売されるや否や、すぐさま次のiPhoneに関する内部情報がリークされ始めるように、携帯電話の開発には通常半年~1年程度の期間が必要であるのに対して、ワイモバイルの立ち上げが早すぎたことによるもの。
ウィルコムとイー・モバイルの合併が正式に決まった昨年12月の時点で、ウィルコムやイー・モバイル向けに開発中だった端末を合併会社(当初は4月に発足予定)のコンセプトに合わせたものに作り替える時間的余裕は無く、やむを得ずそのままワイモバイルブランドでリリースせざるを得なかったと思われます。
旧イー・モバイルの回線に対応する新機種STREAM S 302HW。「今までスマホを使ったことがないレイトマジョリティ向け」を謳う一方で、ワンセグや赤外線、おサイフケータイといったフィーチャーフォンで親しまれた機能が一切無いのはそのせいではないでしょうか。

防水・防塵・耐衝撃ではあるものの、やはりワンセグや赤外線、おサイフケータイなどに一切対応しないスマホDIGNO T 302KC。ARROWS S EM01F同様、ワイモバイルの回線を一切使わないモデルであるため、おそらく同社の立ち上げに関わらず、いずれ投入される予定だったと思われます。

◆気になる料金プラン、事前情報とどう変わった?
そしてもう一つ気になるのが料金プラン。一部モニターに行われた事前調査とおぼしき情報では、ワイモバイルは今年3月時点で以下のような新プランを検討していました。


料金プランの特徴をまとめるとこんな感じ。最安プランは月額2060円で、2年縛りも無くし、パケットシェア向けにSIMカードの提供も行うなど「とにかくランニングコストが安いキャリア」として存在感を発揮するつもりだったようです。
・基本使用料580円、インターネット接続料は500円(Yahoo!プレミアム月額利用料含む)
・パケット定額はSプラン(1GBで980円)・Mプラン(3GBで1980円)・Lプラン(10GBで4980円、SIMカード3枚でデータシェア可能)
・10分間の通話が500回無料になるオプションが1400円で提供
・2年縛り無し、毎月割引無し
そして実際に提供されることになったプランの特徴は以下の通り。最安価格が1000円ほど上がる代わりに通話定額がデフォルトで盛り込まれ、Yahoo!プレミアムがオプション扱いになっています。
・基本使用料、インターネット接続料、パケット定額料込みの料金体系
・スマホプランS(1GBで2980円)、プランM(3GBで3980円)、プランL(7GBで5980円)
・10分間の通話が300回無料
・Yahoo!プレミアムは「Enjoyパック(月額500円)」で提供
・2年縛り有り、毎月割引無し
当初検討されていたプラン通りなら「他社の3分の1、月額2000円程度でスマホを持てる」というアピールができたと思われますが、あえて1000円ほど料金を引き上げ、当初オプションとして導入するつもりだった通話定額を盛り込み、サービスイン時点でSIMカードのみの提供を見送ったワイモバイル。
背景には大手各社が完全通話定額を基本料金に盛り込み、実質的に値上げしたことで、大胆な価格競争に踏み切る必要性が無くなったことや、消費者への訴求を考えれば限定的とはいえども通話定額を盛り込んでおく必要があったとみられます。

つまりワイモバイルの新プランは「VoLTE時代の革新的な新定額サービス」と銘打ち、いち早く「スマ放題」を発表していたソフトバンクが、ドコモが「カケホーダイ&パケあえる」を発表した途端、今までの内容を破棄して急遽丸コピーに路線変更したように、大手の動向を見つつ、発表ギリギリまでプランを練っていたことが見てとれるわけです。
また、価格を一段階引き上げることで格安SIMを提供する日本通信などのMVNO(仮想移動体通信事業者)と直接競合するのを避け、フルサポートサービスで差別化する目的もあるのではないでしょうか。
◆真価が発揮されるのはもう少し先
今回の機種を見ても分かるように、無事立ち上がりはしたものの、肝心の端末面があまり強くないワイモバイル。
おそらく親会社のソフトバンクとの棲み分け上、イー・モバイルの看板を掲げつつも中身は完全にソフトバンクだったNexus 5のような例を除き、最新スペックを惜しみなく投入したモデルが主流になることは今後もあまり無いと思われます。
しかし音声通話にPHS・データ通信にLTEを採用するなど、同社の持ち味をフルに生かし、レイトマジョリティの乗り換えやすさを意識したスマホや、「PHS回線で音声通話ができるLTEモバイルルーター」など、ワイモバイルにしかできないユニークな機種がリリースされれば、そこで初めて同社の真価が発揮されると思われるため、今後に期待してみるのも良さそうです。

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