2015年4月開学を目指していた「幸福の科学大学」に対し、先日文部科学省の審議会が設置を認めないと答申した背景が、とんでもないことになっています。詳細は以下から。
◆「大学教育を提供できるものとは認められない」と判断された教育課程
文部科学省の大学設置・学校法人審議会 大学設置分科会が10月29日付けで公開した資料によると、「人間幸福学部 人間幸福学科」「経営成功学部 経営成功学科」「未来産業学部 産業技術学科」の3学部で構成される予定だった幸福の科学大学が不認可となった理由について、以下のように述べられています。
「幸福の科学の精神に基づき、知力と創造力と精神性の豊かな人材を育成」することを目的とする大学を設置する計画であるが、以下に示すとおり、設置の趣旨・必要性、設置の目的を実現するための教育課程について、大学教育を提供できるものとは認められない。これは3学部共通の必修科目「創立者の精神を学ぶI」「創立者の精神を学ぶII」や自由科目「幸福の科学経典学A~C」「幸福の科学経典学」「幸福の科学実践教学」「説法・修法実習」の根底となる内容が「霊言(霊言集)」と呼ばれる創立者・大川隆法氏の著作であることによるもの。
審議会は「学問の要件を満たしていない」「教育内容を体系的に学生に教授することが不可能」など、バッサリと切り捨てています。
「学問」とは、一定の理論に基づいて体系化された知識と方法であり、一般化・普遍化されたものであることが求められる。上記の「霊言(霊言集)」については、科学的根拠を持って一般化・普遍化されているとはいえず、学問の要件を満たしているとは認められない。
また、大学は、「体系的に教育課程を編成」(大学設置基準第19条第1項)し、「専門の学芸を教授」(同条第2項)するもので、「霊言(霊言集)」は大川隆法氏のみが行えるとされており、実証可能性や反証可能性を有しているか否かという点でも疑義があるため、このような「霊言(霊言集)」を根拠とした教育内容を体系的に学生に教授することが可能とは認められない。ちなみに資料で引用されている「霊言」の内容はこんな感じ。
「(前略)死体になった場合には、食物を与えても、水を与えても動きません。点滴を打っても動きません。これを、『脳の機能が停止した』とだけ考えるのが、現代医学の流れではあるわけですが、そうではないことを証明するために、私は、ここ五年ほどで、二百七十冊以上もの『霊言集』を刊行しています。」新聞に全面広告として掲載されたことで「妄想や虚言、詐欺などと思われないだけの社会的信用がある」とする幸福の科学学園に対し、審議会は「新聞広告にそのような機能はない」「一方的に多くの霊言(霊言集)を刊行するだけでは科学的合理性を証明する根拠と認められない」とコメント。
「『人間として脳がなかったら、何も考えられない』と、医学的には思われているのです。しかし、実際は、『焼かれて何もなくなっても、死んだあとの人には個性というものが残っていて、考える力がある』ということを証明するのが、一連の『霊言集』の機能であるわけです。」「これは、ある意味での『科学的証明』をしていると思っています。」
さらに宗教問題にすり替えられることを避けるためか、審議会は「念のため付言すると、本指摘は、宗教活動における「霊言(霊言集)」の意味や妥当性に言及しているものではなく、あくまで学問的な見地からの指摘である」としています。
◆「最長5年間大学設置を認めない」という厳しい判断が下された「不適切な行為」とは?
上記の内容もさることながら、今回問題となったのが、審議会に対する幸福の科学グループ側からの働きかけ。大学設置における審査は公正さが厳しく求められ、審議会からの一方向の審査ではなく、申請者に意見・質問を伝え、適切な対応を求めるプロセス(補正申請)も取り入れられています。
しかし幸福の科学大学については、審査途中で創立者の大川隆法氏などを著者とする大学新設に関連する書籍が数多く出版され、審議会の委員に送付されたり、今回の大学設置認可に関係すると思われる人物の守護霊本が複数出版される事態に。
これがその一例。幸福の科学大学学長就任予定の人物などによる書籍が相次いで出版された上に……
続々発刊!書籍のご案内 | 幸福の科学大学(仮称) 公式サイト
「下村文部科学大臣の守護霊に大学設置・学校法人審議会の是非を問う」という内容の本まで出版されています。
文部科学大臣・下村博文守護霊インタビュー(2) / 幸福の科学出版公式サイト
審議会は一連の行為について「通常の審査プロセスを無視して、認可の強要を意図すると思われるような不適切な行為が行われたことは、極めて遺憾である」と強い不快感を表明。
「大学設置認可制度の根幹を揺るがすおそれのある問題であると考えており、大学設置認可に係る公正な審査を期すため」として文部科学大臣に報告したとのことで、NHKニュースの報道によると、文部科学省は今後最長5年間、同学校法人による大学の設置を認めない方針とされています。