SIMフリーの格安スマホ「ZenFone」を引っさげ、日本市場への本格参入を果たしたASUSの前途に暗雲が立ちこめていることが明らかになりました。
台湾の部品メーカー関係者によると、中国市場に焦点を当てて格安スマホの展開を進めているASUSが目標とする「2015年に1600万台出荷」の実現が危ぶまれているそうです。
これは価格競争相手となるメーカーが成長著しい「Xiaomi(小米)」である上に、Xiaomiが最近エントリーモデルの「Hongmi」シリーズを値下げし、さらに価格競争力を高めたことを受けたもの。
ASUSのZenFoneシリーズは台湾や東南アジアにとどまらず、ロシアやブラジル、イギリスなどにも展開を進めており、2014年に750~800万台を販売できる見通し。しかし現状でスマホ事業は20~30億台湾ドル(約76~114億円)の赤字です。
そしてもし2015年に1600万台の出荷を達成できれば、20億台湾ドル(約76億円)の利益が見込め、ASUSにとって新たな収益の柱が生まれることになる一方で、目標未達で不良在庫が発生した場合、スマホ事業の見直しを迫られることになりかねません。
なお、ASUSはCES2015で第2世代のZenFoneを発表する予定ですが、大画面需要に応えるため、5.5インチもラインナップされるとのこと。また、2015年にはLTE対応モデルが占める割合が40%を超えるとみられ、中国およびアメリカが主要なターゲット市場になるとされています。
10月28日に国内で発表された「ZenFone 5」。5インチHDのIPS液晶、Snapdragon 400、2GB RAMを備えたAndroid 4.4スマホで、16GBモデルの予想実売価格は2万6800円と非常に安価です。
ちなみにASUSの競合相手として取り沙汰されたXiaomiですが、調査機関「IDC」が発行した最新のデータによると、2014年第3四半期に1730万台のスマホを出荷し、Motorolaを吸収したLenovoやHuawei、LG電子を抜いて世界第3位のスマホメーカーに。つまりASUSの年間販売目標を上回る販売台数をわずか3ヶ月で実現したことになります。
かつて最先端をひた走っていたHTCがSamsungに追い上げられ、そのSamsungすら急成長する中国メーカーたちに脅かされつつあるスマホ市場。
規模が大きくなればなるほどスケールメリットが働き、スマホの安価に製造できるようになる(=価格競争力が増す)ことを考えれば、ASUSがXiaomiに苦戦を強いられるのは納得のゆく話ですが、ASUSは無事スマホ事業の収益化にこぎつけられるのでしょうか。
Asustek faced with difficulty to reach 2015 target smartphone shipments due to competition from Xiaomi