10月末に発表されたNTT東西の光ファイバーとNTTドコモのセット割引「ドコモ光」に暗雲が立ちこめ始めました。詳細は以下から。
◆CATV事業者への影響や、ドコモへの営業支援につながることを懸念
NTT光回線卸売りに暗雲 「地方業者に影響」と自民が待った (1/3ページ) – SankeiBiz(サンケイビズ)
産経新聞社の報道によると、先日自民党が行った情報通信戦略調査会において、川崎二郎元厚生労働相がNTT東西およびNTTドコモが開始しようとしている光回線の卸売およびセット割引に待ったをかけたそうです。
川崎氏は「都会でもうけた利益で地元のCATV会社と競争するということでは、地方はもたないのではないか」とコメント。ドコモの光回線と携帯電話とのセット割引が地方での光回線の利用拡大に貢献する可能性を認めながらも、CATV事業者への影響を懸念したとされています。
また、光回線の卸売がドコモへの事実上の営業支援につながることも危惧されており、NTTが「卸売の料金を開示する必要は無い」としていることに対しても批判が集中。セット割引を発表したNTTドコモについても「議論の結論が出る前に見切り発車するという話だ」と川崎氏は断じています。
10月末の四半期決算発表会で「ドコモ光」を発表したNTTドコモ。「カケホーダイで営業利益1200億円下落」という決算内容の一方で加藤社長が見せた笑顔からは、セット割解禁で巻き返せることへの自信が見て取れます。
◆「ドコモ光」を軽くおさらい
2015年2月にもスタートする「ドコモ光」の内容はこんな感じ。最大1Gbpsの光ファイバーとドコモ回線を組み合わせた「ドコモ光パック」では、ISPを選択可能です。
ドコモの新料金プランと組み合わせ、携帯電話、光ファイバー、ISPをまとめて提供する「光シェアパック30」「光シェアパック20」「光シェアパック10」などが提供され、上位のプランほどリーズナブルになるという仕組み。
◆懸念の背景にある「あまりにも強すぎるNTTグループ」
通信各社が反対を表明しているNTTグループ間でのセット割引。「KDDIやソフトバンクは提供しているのに、どうして認められないんだ」と思う人も少なからずいると思われますが、これはひとえにNTTグループの強さによるもの。
1985年の民営化まで通信事業を独占していたこともあり、各分野におけるNTTのシェアは今もなお圧倒的。グループ間の連携を法律で制限してもなお、巨人であり続けています。
また、日本各地でCATV事業者、電力系光ファイバー事業者なども通信インフラの整備を進めていますが、日本全国津々浦々に通信網を整備できているのはNTTのみ。これは旧電電公社時代からの莫大な資産があってこそできたことで、資本力の時点で他社は太刀打ちしようがないわけです。
KDDIの田中社長やソフトバンクの孫社長が述べるように、法の抜け道を突いた形で提供されることとなったNTT東西の光回線卸売やドコモ光。このままなし崩し的にサービス展開が進められるのでしょうか。