今月からスタートした、さまざまな事業者がNTT東西の光回線を使った通信サービスを提供できる「光サービス卸」。
3月からはNTTドコモやソフトバンクが「ドコモ光」「SoftBank光」として参入することもあって、さらなるにぎわいを見せることになりそうですが、速攻で悪用されたことを受け、行政指導が下されることになりました。詳細は以下から。
◆光サービス卸の提供開始から1ヶ月足らずで行政指導
光サービス卸で2社に行政指導 本人同意なくNTTから契約変更 – SankeiBiz(サンケイビズ)
産経新聞社の報道によると、総務省は本日27日にも光サービス卸を利用してサービスを提供するインターネット接続事業者2社に対して行政指導を行う見通しだそうです。
これは携帯電話販売大手、光通信グループの「Hi-Bit」およびUSENから独立した「U-NEXT」が「フレッツ光」利用者に対して行った不適切な電話勧誘などによるもの。
具体例として「利用者の同意を得ずにフレッツ光から自社サービスへ契約変更手続きを行った」「電話で聞いた契約者情報をもとに本人になりすまして契約変更をNTT東西に申し込んだ」などが挙げられており、両社が代理店に確認したところ、20~30件程度の不適切な契約が確認されたとしています。
◆狙われる「フレッツ光」ユーザー、取り返しのつかない事態も
なお、上記のような悪質な電話勧誘が発生する背景ですが、これは光サービス卸解禁の際、新たに導入された「転用手続き」によるもの。
転用手続きを利用すれば、フレッツ光からサービス卸を利用した光サービスへと簡単に乗り換えられるため、各事業者にとって2015年3月末で1875万人にのぼるとみられるフレッツ光ユーザーは、格好のターゲットなわけです。
ちなみに同じNTT東西の光回線を利用しているとはいえ、サービスの提供元が変わるため、総務省は以下の4点について、消費者に注意喚起を実施。とりわけ一度転用してしまうと、NTT東西を含む他の事業者に乗り換える場合、固定電話の番号を引き継げなくなるという点には気を付ける必要があります。
総務省からのお知らせ | 光サービス(FTTHサービス)の乗換えにあたっての注意点!!
悪質な事業者によって同意無しで転用させられてしまった場合でも、ほかの事業者に移動しようとする際には固定電話の番号が変わってしまう……という、あまりにもロクでもない事態が起こりうる今回のケース。
総務省がここまで迅速な行政指導に踏み切る背景には、消費者保護の観点から事業者に対して上記の4点の周知を徹底するよう要請していたにもかかわらず、悪質な勧誘が行われてしまったことへの不快感が見てとれます。