当時人口カバー率9割のプラチナバンドLTEをKDDIが整備していたにもかかわらず、2.1GHzしか利用できなかったiPhone 5のように、「端末側が携帯電話会社の提供する通信サービスの周波数帯に非対応」というのはよくあるケース。
しかしながら、国内の携帯電話事業者が提供するほぼすべてのネットワークに対応しているにもかかわらず、ドコモ回線でしか利用できない……という、あまりにも惜しいことになっている格安スマホや格安タブレットがあります。詳細は以下から。
◆実は全キャリアの周波数に対応しているZenfoneやZenPad
今年発売されたASUSの「Zenfone」「ZenPad」の主要モデル3機種について、対応しているLTEバンド(周波数)を並べると、こんな感じになります。
・Zenfone 2
2100MHz(1)/1900MHz(2)/1800MHz(3)/1700/2100MHz(4)/850MHz(5)/800MHz(6)/900MHz(8)/1700MHz(9)/800MHz(18)/800MHz(19)/700MHz(28)
・Zenfone 2 Laser
2100MHz(1)/1800MHz(3)/850MHz(5)/800MHz(6)/900MHz(8)/1700MHz(9)/800MHz(18)/800MHz(19)/700MHz(28)
・ZenPad 10
800MHz(18)/800MHz(19)/850MHz(26)/900MHz(8)/1800MHz(3)/1700MHz(9)/2100MHz(1)/2600MHz(41)
なお、各バンドを利用している携帯電話会社は以下。つまりZenfone 2、Zenfone 2 Laser、ZenPad 10は本来、携帯3社のプラチナバンドLTE対応どころか、ZenPad 10にいたってはWiMAX 2+やAXGPにまで対応しているわけです。
Band 1:ドコモ、au、ソフトバンクの2.1GHz
Band 3:ドコモ、ソフトバンクの1.7GHz
Band 8:ソフトバンクの900MHz(プラチナバンド)
Band 18:auの800MHz(プラチナバンド)
Band 19:ドコモの800MHz(プラチナバンド)
Band 26:18、19を内包
Band 28:ドコモ、au、ソフトバンクの700MHz
Band 41:WiMAX 2+、AXGP
◆立ちはだかるのは技適の問題
上記のような対応状況にもかかわらず、Zenfone 2公式ページでは「KDDIのSIMカードでLTEサービスをご使用いただけません」という注釈が行われているほか、Buzzap!編集部でASUSに問い合わせたところ、Zenfone 2 Laser、ZenPad 10については「ドコモ回線でしか利用できません」と回答。
どうしてこのような事態になったのかが非常に気になるところですが、特にau回線でSIMフリースマホを使えないケースがある背景には、携帯3社が採用しているバンド1(2.1GHz)帯の上り周波数(1920MHz~1980MHz)はKDDI(au)が1920~1940MHz、NTTドコモが1940~1960MHz、ソフトバンクが1960~1980MHzを割り当てられているのに対し……
KDDIの帯域はPHSの周波数帯(~1915.7MHz)と近接。そのためSIMフリースマホが技術基準適合証明(技適)を取得する際、「PHSに干渉しないか」という項目をクリアしていないと、auの2.1GHz帯を利用してはいけないという背景があることを以前Buzzap!でもお伝えしました。
そのためBuzzap!編集部でASUSの広報担当者に、「ドコモ以外の格安SIMを利用したいユーザーのために、技適を通すようにしてはどうか」という提案をしたところ、「モデムなどの技術的な側面もありますが、なるべく対応していくようにしたい」という回答でした。
au・ドコモ回線のマルチキャリア展開にこぎつけた「mineo」のように、ドコモ以外の回線を採用した格安SIMが今後増えるであろうことを考えると、「すべてのキャリアに対応しているはずなのに利用できない」というのはもったいない話であるため、ASUSにはもう一頑張りしてもらいたいところです。
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