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血で血を洗うiPhone 5S/5Cユーザー争奪戦、ドコモ・au・ソフトバンクの戦略を考えてみた

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ソフトバンクモバイルやKDDIに加えて、NTTドコモまでもが参戦することになった「iPhone 5S」「iPhone 5C」ユーザー争奪戦。
これほど高い人気が見込める商品を3社が扱うという前例は無く、空前の泥仕合になるとみられますが、各社がどのような戦略を採用するのかを考えてみました。

◆NTTドコモ
まずは今回、初めてiPhoneを扱うこととなったNTTドコモ。

同社は今までiPhoneを取り扱うKDDIやソフトバンクモバイルへの携帯電話ユーザーの流出が年間120万人のペースで続き、その穴をiモードやspモードに対応していない端末や通信モジュール、MVNOへの回線提供で埋めるという、非常に苦しい展開を強いられてきました。
月数千円の定額パケット通信や音声通話、そして「dマーケット」のようなコンテンツ配信サービスを利用してくれる、携帯電話会社にとって「うまみのある」ユーザーが減って、代わりに単価の低いサービスの契約が増えるという状況でしたが、iPhoneの導入によりユーザーの流出を食い止めることができるようになります。
おそらくNTTドコモは既存ユーザーに対して、「ドコモのツートップ」で見せたような特別価格でiPhoneを提供して流出を防ぎつつ、持ち前の3G・LTEエリアの広さを生かし、エリアに不満を抱いている地方iPhoneユーザーの乗り換え需要を獲得するのではないでしょうか。

◆KDDI
対応する周波数帯の少なさに泣かされたiPhone 5とは打って変わって、iPhone 5S/5CがプラチナバンドのLTEに対応したことで、LTEエリアで一気にトップに躍り出ることになったKDDI。

2014年3月末にはLTEのカバー面積が2013年8月時点の1.5倍となり、実人口カバー率も97%から99%へと拡大。LTEエリアがいち早く「完成」します。

同社のLTEを支えるのはプラチナバンドLTE対応基地局の圧倒的な多さ。基地局免許許可数を比較しても圧倒的に多く、2012年から整備してきた800MHz帯のLTEエリアがようやく実を結んだ形に。「LTEがつながるほうのiPhoneに乗り換えませんか」といった売り文句すら可能になる勢いです。

ちなみにKDDIが抱える爆弾は今まで獲得してきたiPhone 5ユーザー。唯一対応している2.1GHz帯LTEの実人口カバー率は今年度末時点で80%台半ばにとどまる見通しであるため、条件次第では他社に乗り換えられかねません。
しかしながら田中社長は先日、ネットワークに関する説明会の場で「もし次のiPhoneが800MHz帯に対応するようなことがあり、使いたい人がいるのであれば、乗り換えやすい施策の提供を考えています」とコメント。近いうちに何らかの発表があると思われます。
◆ソフトバンクモバイル
買収したイー・モバイルのLTEも使える「ダブルLTE」を提供するなど、iPhone 5時代に非常に勢いがあったにもかかわらず、iPhone 5S/5C発売時点で唯一プラチナバンドのLTEを提供できない上、誇示していたトータルのLTE基地局数でもKDDIに抜かれることとなったソフトバンク。

TD-LTEと互換性を持つ通信規格「AXGP」にiPhone 5S/5Cが対応すると見込んでいた節があったものの、いざフタを開けてみれば非対応だったこともあって、「ソフトバンクだけネットワーク周りがiPhone 5と何一つ変わらない」という窮地に陥っています。
そんなソフトバンクであるだけに、この状況をどう打開するのかが気になるところですが、ヒントとなりそうなのが同社が発売するiPhone 5S/5C「モデルA1453」「モデルA1456」は傘下のSprintが販売するモデルと同じという点。

Sprintの契約者は8月末時点で5337万6000人と、ソフトバンクモバイルの契約者3379万4800人(8月末時点)を組み合わせればNTTドコモを大きく上回る約8700万人規模となるわけですが、この規模を生かして同じモデルのiPhoneを調達すれば、スケールメリットで調達コストが下がることも期待できます。
もちろん1台あたりの価格がそこまで劇的に下がるとは思えませんが、ネットワーク面の不利を解消するためにNTTドコモやKDDIよりもiPhoneを安く売る、値引き合戦に持ち込むのであれば、下がった分のコストを原資として用いることもできるはず。
また、「なんでもあり」を自称するソフトバンクであるだけに、昨年のイー・アクセス買収のような「場外乱闘」に持ち込む可能性もあるため、しばらくは目が離せないのではないでしょうか。
ちなみにこの記事が掲載された時点でAppleの本社があるアメリカ・カリフォルニア州は深夜。iPhoneの料金プランや販売施策などは携帯各社が独自で発表できず、Appleの承認を受ける必要があるとみられるため、iPhoneの価格や料金をはじめとする大手3社の戦略が明らかになるのは明日、9月12日以降となりそうです。

(関連リンク、拡大画像を参照できるオリジナルの記事はこちらです)


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