ついにNTTドコモがiPhone 5S/5Cを取り扱うことになりましたが、Appleから課せられた販売ノルマや条件などが明らかになりました。
交渉5年 ドコモ、契約流出止まらずiPhone参入 :日本経済新聞
日本経済新聞社の報道では、NTTドコモがiPhone受け入れにシフトし始めたのは2012年後半であるなど、iPhone販売交渉の舞台裏が明かされています。
これはNTTドコモが持株会社のNTTに対して頭を下げ、2013年下期の販売促進費を800億円増やしたにもかかわらずユーザーの流出が止まらなかったことや、今夏導入した「ドコモのツートップ」が既存ユーザーの買い換え促進には成功したものの、他社から顧客を奪えるほどではなかったことを受けたもの。
しかしNTTドコモがiPhoneを取り扱うためにはハードルがあり、「販売台数の半数をiPhoneにする」「NTTが持つ特許をすべてAppleが使えるようにする」といった条件をAppleから提示されていることが、かねてから各所で報じられていました。
この条件に対してはNTTドコモの加藤社長が「販売台数が当社の扱うスマートフォン全体の2~3割なら受け入れ余地はある」とコメントすることで、Appleとドコモが販売台数面で折り合えていないことを示唆していましたが、ある携帯電話メーカー幹部は両社が「販売ノルマは新規契約の4割」で大筋合意したと聞いたとのこと。
さらに特許についても「必要なものをその都度交渉して利用を両社が判断する」という線まで降りてきたとされており、国内最大手キャリアでiPhone販売にこぎつけたいAppleと、顧客流出に苦しんではいるものの、コンテンツ販売などでの収益化を目指しており、回線を提供するだけの「土管屋」になることを避けたいNTTドコモの綱引きがギリギリまで続いていたことが分かります。
なお、AppleとNTTドコモの交渉が山場を迎えたのは今年6月のことで、情報漏洩を防ぐため、普通では考えられないルートを使って加藤社長がお忍びでApple本社を訪問。
直前の5月には数多くリリースされてきた「対iPhone」機種に代表されるようなNTTドコモのサービス・端末の戦略策定を統括し、Tizenを推進してきた執行役員 マーケティング部長の永田清人氏が関西支社長に異動する人事が行われるなど、iPhoneの受け入れに向けた足場固めが進んでいたため、「ドコモのツートップ」を含む2013年夏モデルが発売された時点で、iPhone 5S/5C発売はほぼ既定路線だったのかもしれません。
ドコモ参戦でiPhone戦略探り合い 先行2社、セット割などで守り固める (1/5ページ) – SankeiBiz(サンケイビズ)
ちなみに気になるiPhone 5S/5Cの販売価格ですが、iPhone 5の後継機種にあたるiPhone 5Sを今までのように「実質0円」で販売するのは難しいのではないかと産経新聞社は報じており、実質0円での販売は廉価版の5Cが担うのではないかとしています。
NTTドコモの加藤社長やKDDIの田中社長が来席した中、iPhone発表会に訪れなかった上、今でも沈黙を守り続けている孫社長率いるソフトバンク幹部も「他社の動向にもよるが、5Sの価格設定は難しい」とコメント。しかしながらソフトバンクはプラチナバンドLTEで大きく出遅れることが確定しているため、他社よりも安価になる可能性が最も高いと考えられます。
「4割」という販売ノルマを多いとみるか少ないとみるかは人によって分かれそうですが、6000万人を超える契約数を誇るNTTドコモであるだけに、ノルマが「半数」と言われているソフトバンクモバイルやKDDIの販売台数を大きく上回るのはほぼ確実。
先行してiPhoneを販売した2社での販売台数が落ち込み、NTTドコモに活路を見いだしていた国内メーカーですが、今冬の「スリートップ」が見直されると報じられるなど、すでに影響が出始めているため、今後は文字通り生き残りをかけたより厳しい戦いを強いられることになります。
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