スマホの普及や4K・8K動画などの大容量コンテンツ登場によって、今後膨れ上がる通信量へと対処するため、携帯各社は5GHz帯以上を用いた次世代高速通信「5G」や、60GHzの「ミリ波」など、高周波数帯を利用した通信の研究開発を進めていますが、そのさらに上、テラヘルツ帯の活用に向けた研究開発が進められています。詳細は以下から。
ワイヤレスジャパン2016のNICT(情報通信研究機構)ブース。ここではテラヘルツ帯を用いた技術の研究開発状況が展示されていました。
基礎から応用にわたって幅広く研究開発を進めているNICT。その技術は次次世代無線LANや近接通信、5Gの無線バックホールなどとしての活用が期待されています。
将来、100Gbps級の高速無線通信が可能になることが期待されるテラヘルツ帯。新設計アンテナによって、40Gbps級の無線伝送原理実証に成功しています。
減衰しやすい同周波数帯を利用して高速通信を実現するためには、電波の増幅技術が不可欠なわけですが、NECが300GHz帯で1Wの出力を持つ増幅技術を進行波型真空管技術を利用して開発。
同技術を用いた増幅器は100GHz帯・5GHz幅で5Wの出力を実現したほか、非破壊検査などのイメージングへの応用も期待されています。
さらにシリコンCMOSによる、300GHz帯無線送信機を広島大学、パナソニックと共同開発。
1chあたり17.5Gbps、6chで105Gbpsの無線伝送を実現しており、実用化されれば8Kの映像信号を無線で転送できます。
一般的な100Mbpsの光ファイバー1000本分という、にわかにはイメージしづらい速度を実現できるテラヘルツ帯。実用化されるころ、世の中にはどのような大容量コンテンツが溢れているのでしょうか。