自己資本が乏しい上、筆頭株主の産業革新機構が競争力強化に向けた具体的な旗振りを行うこともなかったために、有機ELに大規模な投資を行う韓国や中国勢をただ眺めていることしかできなかったジャパンディスプレイ。
案の定、有機ELの波に乗り遅れて悲惨なことになっていますが、そう遠くないうちに中国のディスプレイメーカー傘下になる可能性が浮上しました。詳細は以下から。
日刊工業新聞社の報道によると、ジャパンディスプレイが進めている経営再建策に絡んで、TianmaやBOE、CSOTといった中国パネルメーカーが出資を提案していることが明らかになったそうです。
これはジャパンディスプレイが持つ低温ポリシリコン(LTPS)やAppleとの取引関係、車載パネルなどを目当てにしたもので、JDIの筆頭株主である産業革新機構が保有する35%の株式を買い取ることなどを提案したとみられています。
なお、産経新聞社の報道によると、ジャパンディスプレイはグループ従業員の約3割にあたる4000人弱の人員削減を進める見通し。
石川県の能美工場を休止するほか、海外の部品組み立て工場では生産体制の縮小を進め、委託生産に切り替えるなど、赤字体質からの脱却に向けて構造改革に踏み切るとしていますが、今のままではいつまで経っても攻めの姿勢に転じることができません。
ちなみに有機ELについては中国勢が1社あたり数千億円規模の投資を行い、生産拠点の構築を進めているほか、先行する韓国勢は海外の原料メーカーに頼ることなく有機ELを製造できるよう、有機材料の自社生産の道を模索。スマホメーカーがハイエンドモデルに有機ELを採用する流れが追い風となり、投資ラッシュとなっています。
もはやフラッシュメモリなどと同じく、大規模な投資を続けたメーカーだけがリターンを得ることができる形となりつつあるディスプレイ業界。
東芝メモリの買収に国内企業がほとんど手を上げていないことを考えると、ジャパンディスプレイに救いの手を差し伸べるのが海外勢となることは致し方ないことなのかもしれません。