自称「いざなぎ超えの好景気」の中、昨年初めて100万人を割り込んだ出生数がさらに急減していることが明らかになりました。
次代を担う子どもが一気に減り、今後日本から急速にイノベーションなどが失われていくという、正真正銘の「国難」です。詳細は以下から。
総務省統計局がまとめた人口動態統計速報(平成29年7月分)によると、2017年7月の出生数は前年比4070人減(4.7%減)の8万2963人にとどまっています。
出生数(赤線は2017年、青線は2016年)は2017年に入ってから常に前年同月を下回り続けており、2017年1月~7月の累計出生数は前年比2万3728人(4%減)の58万5891人。このままだと100万人を割り込んだ昨年から4万人ほど出生数が減り、少子高齢化は急加速することになります。
しかし死亡数(赤線は2017年、青線は2016年)は前年同月を上回り続け、「生まれる数は減り、死ぬ数は増える」という、日本から人が消えていることが一目で分かる内容に。なお、7月を含む過去1年の人口減少数は27万7509人(2016年)から36万9434人(2017年)へと1年で10万人近く膨れ上がっています。
出生率が2.0を割り込んだ1975年から実に40年以上、何ら有効な対策をしてこなかったツケが如実に表れた形となった出生数の急減。生活苦から共働き世帯が増える中、育児環境の厳しさを訴えた「保育園落ちた日本死ね!!!」は誇張でもなんでもなく、本当のことだったわけです。
また、「団塊ジュニア」として知られる第二次ベビーブーム世代(1971年から1974年生まれ)の大半が妊娠・出産できる年齢を超えてしまったこともあり、今後日本の出生数が大きな改善を見せることはまず期待できません。
一方で、もしバブル崩壊後の就職氷河期が直撃した団塊ジュニアやそれ以降の世代に対し、当時の政府与党が雇用の不安定化・低賃金化を進める派遣の大幅緩和でなく、生活を安定させる施策を講じていれば、第三次ベビーブームが起き、少子高齢化や人口減少が多少でも食い止められた可能性は十分にありました。
「戦争状態でないにもかかわらず、政治の無策によってポル・ポト派の虐殺に匹敵する年間数十万人の人口が減っていく」という未曾有の国難に瀕した日本。出生数の急減は警鐘などではなく、もはや国民の断末魔の声なのかもしれません。