「夜になると混雑時間帯の格安スマホと変わらない、1Mbpsを下回る通信速度にまで落ちるのがあまりにも辛く、WiMAX 2+のホームルーターを試してみたら快適だった」という記事がヒットしたBuzzap!。
実際に筆者の周囲に聞いてみても「最近、夜になるとフレッツ光が極端に遅くなる」というケースは多く、かつてCATVやADSL利用者が羨んだ「光=爆速」というイメージは音を立てて崩壊しつつあるわけですが、通信行政の監督官庁・総務省があまりにも仕事をしておらず、「総無能」と揶揄されても一切文句は言えない……というお話をお届けします。詳細は以下から。
◆夜になると1Mbps以下、「どこがブロードバンドなのか」と言いたくなるフレッツ光
まず見てもらいたいのが、Buzzap!編集部員が利用しているフレッツ光(大手プロバイダ契約)の問題。ここ1年ほどかなり顕著で、夜になると平日昼12時台の格安スマホやWiMAX 2+の速度制限時よりもさらに遅い、下り1Mbps以下の通信速度にまで落ちます。
あまりにも辛いので、シンセイコーポレーションのホームルーター「novas Home+CA」を試してみたところ、思わず笑いがこみ上げてくるほどの速度差になりました。
通信業界には「ベストエフォート」という便利な言葉がありますが、ここまで速度が違うと「じゃあフレッツ光の支払いもベストエフォートでいいよね?」と皮肉りたくなってしまいます。
◆全く仕事をしていない総務省
こんな時、頼りになるかもしれないのが通信事業の監督官庁である総務省。同省では消費者の優良誤認を避けるため、2013年に「インターネットのサービス品質計測等の在り方に関する研究会」を立ち上げ、通信事業者に対して理論上の最大通信速度だけを掲げた広告を行わないよう促しましたが……
「インターネットのサービス品質計測等の在り方」を研究するはずにもかかわらず、ターゲットとなったのは移動通信事業者(MNO)のみ。携帯3社が槍玉に挙げられて終わっただけで、2015年以降同研究会は開催されていません。
携帯電話事業者に課せられた広告表示のイメージはこんな感じ。固定通信についても是非導入して欲しいところです。
◆総務省にはフレッツ光の速度問題を監督する責任がある
ドコモとフレッツ光のセット割を実現させたいNTTの意向をくむ形で、NTTが光回線をさまざまな事業者に卸す「光コラボレーションモデル(光コラボ)」の導入を認め、2015年に「ドコモ光」や「SoftBank光」をスタートさせた総務省。
(PDFファイル)2017年3月時点にはフレッツ光の契約数が2000万件を突破しましたが、新規契約獲得においてドコモとソフトバンクが大きな牽引力となっています。
つまり、最近になってフレッツ光で発生している極端な通信速度低下の一因には光コラボ導入による光回線の契約増があり、当然光コラボを認めた総務省にも責任があるわけです。
NTTの局舎内にある「網終端装置」と呼ばれる装置が原因の1つとされる速度低下。「同じプロバイダでも都道府県で混雑状況が異なる」「同じ都道府県でもプロバイダによって混雑状況が異なる」という、利用者がどうすることもできない状況である以上、総務省が率先して旗を振り、各事業者を取りまとめて問題の解決を図るべきではないでしょうか。