国内の携帯電話市場が冷え込んでいることが明らかになりました。
大手携帯電話会社から回線を借りて通信サービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)が牽引してきた格安スマホ市場に、黄信号がともりつつあります。詳細は以下の通り。
◆過去2番目の低水準となった2018年上期
2000年度から携帯電話出荷台数の統計を取っているMM総研の発表によると、2018年度上期は前年同期比5.0%減の1552.1万台となり、半期別出荷台数として過去最低だった2016年度上期(1518.8万台)に次ぐ低水準を記録したそうです。
なお、過去最低を記録した2016年上期は総務省による携帯電話の値引き規制が直撃した時期。以下のような「ソニー28.5%減、シャープ46.4%減と国内メーカーが大打撃を受ける中、iPhoneは微減」という地獄絵図になってしまいました。
◆携帯電話出荷減もスマホは伸びる
2018年上期に出荷された1552.1万台のうち、スマホは前年同期比1.2%増の1390.1万台。一方でフィーチャーフォンは37.9%減の162万台と大きく落ち込み、半期別出荷台数として過去最低を記録しています。
携帯電話全体のメーカー別出荷台数シェア。1位はApple(41.6%)で、2位シャープ、3位富士通、4位ソニー、5位京セラの順に。
スマホに限定すると1位はApple(46.5%)で、2位シャープ、3位ソニー、4位Samsung、5位Huaweiに。富士通・京セラのスマホが伸び悩んでいることが浮き彫りになっています。
◆SIMフリー(MVNO)成長に急ブレーキ
「携帯電話出荷台数は落ち込んでいるものの、スマホの出荷台数は増えている」という結果となった2018年上期。
そんな中SIMフリースマホの出荷台数が前年同期比7.1%減の134.3万台となり、スマホ出荷全体に占めるSIMフリー比率が0.9ポイント減の9.7%に。つまりMVNOの成長に急ブレーキがかかっていることになるわけです。
SIMフリースマホ(134.3万台)に限定したメーカー別出荷台数シェアはHuaweiが1位に。春~夏にかけて押し寄せたHuaweiのキャリアモデルラッシュは、SIMフリー市場の伸び悩みが背景にあったのかもしれません。
◆さらに携帯電話市場は今後縮小へ
なお、「通信料金4割値下げ」を強硬に主張する政府の声を受け、auやソフトバンクに続いてドコモも2019年に端末と通信料金の完全分離に踏み切る予定。
端末と料金の分離を進めれば通信料金が安くなりはするものの、端末が高額化するためユーザーの買い換えは鈍り、携帯電話市場は縮小することになります。
MM総研では2018年度の総出荷台数は前年度比5.8%減の3530万台(うちスマホ出荷台数3180万台)と予測した上で、2019年度3400万台、2020年度3460万台、2021年度3320万台と、これまでの予測を下方修正しています。