元々は「MNPを繰り返すユーザーと長期契約ユーザーの間に不公平感がある、MNPを規制して長期契約者を優遇すべき」という話が出発点でした。詳細は以下から。
共同通信社の報道によると、本日開かれた携帯電話料金見直しを検討する有識者会議において、2年契約を中途解約する際の違約金の上限を1000円に規制するなどとした省令改正案に関して大筋で一致したそうです。
これは一般的に「2年縛り」と呼ばれる高額な違約金(9500円)による囲い込みを是正し、競争を促すためのもの。
2年縛りによる通信料の割引額も月170円までに制限するほか、長期契約者への特典に上限を設けるとしており、今秋施行の改正電気通信事業法とともに導入される予定です。
ちなみに携帯電話料金引き下げを巡る議論は2015年に遡り、その時に挙げられていたのが「ユーザー間の行きすぎた不公平性の是正」という話でした。
しかしこの話も、もともと「日本の携帯電話料金は高い」「家庭の支出における携帯電話代の割合を下げる」と首相が息巻いたものの、検証すると日本の携帯電話料金は諸外国と比較して高くないことが分かり、振り上げた拳を下ろす先として用意されたもの。
実際に「不公平感の是正」を掲げてMNP割引を規制したところ、負担増を強いられた利用者や大幅な売り上げ減で職を失った携帯電話販売店スタッフなどからの怒りの声が寄せられました。
そんな経緯を経て、分離プラン義務づけで一応の決着をみた形となった携帯電話料金の引き下げ議論。
新たな制限はセット割引廃止によるスマホ本体の大幅値上がりで低下するユーザーの流動性を、2年縛りを有名無実化しMNPのハードルを大きく下げることで担保する試みとみられます。
しかしただでさえ少子高齢化で国民の平均年齢が46歳を超え、ITリテラシーの向上が見込みづらい日本において長期契約者への特典を制限してまで乗り換えを促すのは悪手。
今なおキャリアメールを多用する高齢層が「乗り換えると元のメールアドレスは使えなくなる」といったことすら理解せず乗り換えてトラブルが起きていることを考えると、そこまでする必要はあるのかという気がしてなりません。
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