KDDIやソフトバンクが恐れていた、ドコモとフレッツ光のセット販売が実現することが明らかになりました。
本日NTT東西が行った発表。NTTは光回線の「サービス卸」をスタートさせます。
これは世界初の試みで、自社グループ内外問わず、さまざまな事業者に光回線を用いた通信サービスを「公平に」提供するという「光コラボレーションモデル」を提案。
「公平に提供」「現行の法制度下で提供可能」としていますが、これは公平な競争環境を実現するためにNTTの独占を防ぐ「禁止行為規制」が見直されることで、グループ内での排他的連携が生まれるのではないか……という各社の意見を踏まえたもの。
「光コラボレーションモデル」を分かりやすく解説するとこんな感じ。従来はNTT東西がユーザーに直接光アクセスサービスを提供していましたが、今後はNTTからサービス卸を受けたさまざまな会社が自社の強みと組み合わせ、自社サービスとしてユーザーに提供できます。
もちろん通信キャリアへも提供。つまりauやソフトバンク、MVNO事業者などがNTTからサービス丸ごとを卸してもらい、自社サービスとして提供できるだけでなく、NTTドコモが光回線をセットで提供することも可能になるわけです。
これによりサービス提供側もユーザー側にもメリットがあるとしています。
なお、提供条件などは2014年度第2四半期(7~9月)に提示予定。サービスインは第3四半期以降を想定しています。
平たく言えばNTT東西が「光サービスを公平に卸すので、ドコモでもセット割を提供できるようにしたい」という意思表示を行った形となる今回の発表。光回線で圧倒的なシェアを保持するNTTだけに、多くの事業者がこぞって参入することが期待されます。
多くの事業者が自社サービスとして提供できるようになることで、光ファイバーの普及に弾みが付き、さらなる設備投資が期待できるなど、メリットも多い「光コラボレーションモデル」。
しかしいくら「公平に提供」とは言っても、グループ内でお金を融通し合う形になるNTTおよびNTTドコモが有利なことは変わらない上、圧倒的なスケールメリットによって、NTTへの一極集中がさらに進むと考えられます。
これと同じ事が言えるのがドコモの新プラン「カケホーダイ」。「固定電話や他社携帯にも24時間通話し放題」という画期的な内容ですが、ユーザーの通話先の大半が自社グループ内で済んでしまい、他社に支払う接続料が少なくて済むからこそ提供できるわけです。
また、携帯電話各社は今後、急増する通信量を処理するため、無線LANアクセスポイントのように基地局を細かく敷き詰める「小セル化」が必要となりますが、これらの基地局を整備するためには、より多くの光ファイバーが必要に。
その結果、4G・5G時代には現在ネットワーク関連コストの30%を占める基地局回線コストがさらに高まることが想定され、携帯各社は今まで以上にNTTに生殺与奪の権利を握られるほか、ネットワークの冗長性を担保できないという側面もあります。
このように必ずしもメリットばかりとは限らない、圧倒的なスケールメリットを生かしたNTTの各種サービス。電電公社時代からの資産で整備されてきたインフラである以上、他社が太刀打ちすることは容易ではありません。
さらにこのタイミングで発表された以上、明日行われるNTTドコモの発表会でセット割が正式発表されるのかどうかが気になるところですが、携帯各社がどう打って出るのかにも注目が集まります。