携帯各社が展開している「ソフトバンクWi-Fiスポット」「au Wi-Fi SPOT」「docomo Wi-Fi」などの公衆無線LANサービス。
ソフトバンクとauが一時期スポットの「数」をひたすら競っていたこともあり、気が付けばWi-Fi大国になっていたことが明らかになりました。
◆Wi-Fiスポット数は世界的に成長中
Global Wi-Fi Hotspots Will Grow to 7.1 Million in 2015 as a Method to Offload Traffic
調査会社ABIリサーチによると、Wi-Fiスポットは世界的に普及を始めており、2013年には420万スポット(携帯電話会社以外の会社が展開した数を含む)に達したそうです。また、今後も平均成長率15%ほどで増え続ける見込みで、2018年には1050万スポットになるとのこと。
このような伸びを見せる背景として、ABIリサーチのアナリスト・Marina Luさんはモバイル回線のデータ通信量が2013年の2万3000ペタバイトから、2018年には19万ペタバイトまで膨れ上がることを挙げた上で「Wi-Fiは携帯会社とモバイルユーザーの双方に費用対効果の高い方法であり、3G/4Gモバイルインターネットの負荷を軽減するのに役立ちます」とコメント。
実際にブラジルではFIFAワールドカップのためにWi-Fiスポット50万ヶ所を2013年末までに設置し終えたほか、中国ではチャイナモバイルが42万、チャイナテレコムが12万8000、チャイナユニコムが7万2000ヶ所を設置するなど、特に人口が多い国家で集中的に整備が進められています。
◆実は世界有数のWi-Fi大国だった日本
なお、BUZZAP編集部で携帯各社に最新のWi-Fiスポット数(2014年5月時点)を問い合わせてみたところ、携帯3社だけでブラジルや中国を上回る85万スポットを展開し、世界シェアの2割を占めていることが明らかに。
NTTドコモ:15万
KDDI(au):24万
ソフトバンク:46万
携帯電話会社にとどまらず、コンビニエンスストアなどもWi-Fiスポットの展開に乗り出していることや、人口および国土を考えると、これほどWi-Fiスポットが密集している国はそうそう無いのではないでしょうか。
◆Wi-Fiスポット数を競う時代は終了、「質」の時代に
2012年9月時点で、ソフトバンクが31万、KDDIが20万ヶ所であったことを考えると、あまり増加していない感もある携帯各社のWi-Fiスポット。
しかしこれは主要地点に敷設し終えたことの表れであると同時に、数を競う時代は終わったことを意味するのではないかと思われます。
最近の携帯各社の取り組みの一例。ソフトバンクは「ソフトバンクWi-Fiスポット」としてだけでなく、無料無線LANスポットとしても利用できる「東京お台場FreeWiFi」の整備を行っています。
一方でauは鉄道やバスの車両自体に「au Wi-Fi SPOT」を取り付ける試みを導入。絨毯爆撃のようにWi-Fiスポットを敷設して回るのではなく、「質」を意識した整備を進めているのが現状です。
このように一躍Wi-Fi大国となり、今もなお質の向上を目指した整備が続けられている日本。しかしながら無料Wi-Fiスポットを利用したい外国人観光客などにとって不親切な部分は今なお多く、東京オリンピックが開催される2020年までにどのように改善されるのかにも注目が集まりそうです。