今年4月に導入された消費税率8%への引き上げ。
今まで「税込1000円」だったものが値上げを盛り込んで「税抜1000円」と表記され、実質13%に引き上げられたようなものという声も上がる中、税率引き上げ後の2014年4~6月期のGDP(国内総生産)がマイナス7%になるのでは……という見通しが浮上しました。
焦点:4─6月GDP‐7%予想も、消費など夏場の回復ペースが不透明 | Reuters
ロイター通信社の報道によると、もともと消費増税後の2014年4~6月期は駆け込み需要の反動が訪れることが予想されていましたが、増税後の消費の回復に力強さが見られず、耐久消費財を中心に在庫の積み上がりが鮮明となったことを受け、深い谷を刻む可能性が出てきたそうです。
これは5月の消費総合指数(個人消費動向の実態をより正確に把握するための指標)が前月比1.3%増と、8.1%減となった4月からほとんど伸びていないことや、企業側も4月以降、生産計画を下回っていることを受けたもの。
すでに伊藤忠経済研究所では、4~6月期の実質GDPをマイナス6%と予測しており、バークレイズ証券も、従来の前期比年率マイナス3.8%からマイナス7.3%まで一気に引き下げたとしています。
このように消費・供給の双方に影響を与えていることが顕著な消費増税ですが、報道でも述べられているのが「今までの増税時よりも影響が大きい」という部分。
(PDFファイル)総務省統計局がまとめた消費支出の推移でも、1989年4月の消費税導入(3%)時、1997年4月の消費増税(5%)時と比較して如実に落ち込んでいることが分かります。
そして「GDPマイナス7%」がどれだけヤバイのかがよく分かるのが以下のデータ。年次データであるため、四半期の数字と単純な比較はできないものの、「イタリアやギリシャよりも低く、下にはリビアと中央アフリカしかいない程度のマイナス成長」という数字です。
世界の経済成長率ランキング – 世界経済のネタ帳
このように非常に厳しい数字になるとみられる4~6月期のGDPですが、次の消費税率10%への引き上げの判断に影響する7~9月期は2%のプラス成長に戻る見通しとのこと。
しかしすでに出ている数字からも分かるように反動減からの戻りが今後も予想以上に弱く、一段の落ち込みを見せるような場合、景気後退の可能性も否定できなくなるとされているため、さらなる税率アップにブレーキをかけるのか、それとも押し通すのかで大きく状況が変わることになりそうです。