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悲願のiPhone超えを果たした「ドコモのツートップ」のお寒い実情、貢献してきたシャープも犠牲に

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(関連リンク、拡大画像を参照できるオリジナルの記事はこちらです)

「Xperia A」「Galaxy S4」を2013年夏モデルの中心に据え、「ドコモのツートップ」として売り出しているNTTドコモ。

他の機種にはない特別価格に加え、iモードケータイユーザーや10年以上同社を利用し続けてきたユーザーにはさらなる割引が提供され、Xperia Aにいたっては5040円で機種変更できる場合もあることからiPhoneを上回る人気っぷりですが、その実情が明らかになりました。

◆iPhone超えを果たした「ドコモのツートップ」
エディオングループやビックカメラ、ソフマップ、ケーズデンキ、ベスト電器などを含む大手小売各社からPOSデータの提供を受け、販売数ランキングを掲載している「BCNランキング」によると、2013年5月の携帯電話販売数ランキングで「Xperia A SO-04E」がソフトバンク・KDDI版iPhone 5の16GBモデルをおさえて見事1位を勝ち取っています。

スマートフォン・携帯電話の売れ筋情報|BCNランキング【月間】

また、5月23日に発売された「Galaxy S4 SC-04E」も約1週間の販売期間でランキング4位に食い込むなど、「ドコモのツートップ」の強さが裏付けられています。

◆はたして契約増に寄与できているのか
このランキングだけ見れば、他社への流出に苦しんでいたNTTドコモが再び活気を取り戻したかのように見えますが、問題なのは肝心のユーザー増加に寄与しているのかという部分。

一般社団法人 電気通信事業者協会がまとめた2013年5月末現在の契約数によると、NTTドコモは5月に9万1800契約の純増を獲得しており、ツートップは成功したように見えますが、地域別の内訳を見ると違ったものが見えてきます。

全国各エリアでの増加内訳。北海道、東北、東海、北陸、関西、四国で純減する一方で、関東甲信越のみが11万3800の純増と突出する結果に。

一方でiモードやspモードといったNTTドコモが提供する携帯IP接続サービスは11万6500の純減という、非常に気になる数字もあります。

つまりiモード(フィーチャーフォン)ユーザーやspモード(スマートフォン)ユーザーが減少しているにもかかわらず、NTTドコモの契約数だけは増えているわけですが、その穴を埋めていると目されるのが安価な「ワンコインSIM」などに代表される、ドコモ回線を利用したMVNO(仮想移動体通信事業者)による通信サービス。

同社はMVNOへの回線提供での純増について、関東甲信越地方として一括カウントしているため、5月の純増はMVNOへの回線提供による部分が多く、「ドコモのツートップ」は流出を食い止めきれてすらいないことが分かります。

◆NECやパナソニックだけでなく、シャープにも引導を渡す形に
以前BUZZAP!では特定のメーカーを優遇する「ドコモのツートップ」はフィーチャーフォン時代から深い付き合いがあったNECやパナソニックを切り捨てるものということをお伝えしましたが、売り上げランキングを見るとそれだけにとどまらない状況であることが浮き彫りとなりつつあります。

スマートフォン・携帯電話の売れ筋情報|BCNランキング【週間】

2013年6月3日~6月9日の週間売れ筋ランキング。Xperia Aがトップを堅持、Galaxy S4も4位(前週2位)と好調で、6月7日発売の「ARROWS NX F-06E」は7位にランクインしていますが、前モデルが発売2ヶ月で約44万台を売り上げ、Xperia AXと並んで存在感を発揮していたシャープの最新モデル「AQUOS PHONE ZETA SH-06E」がなんと18位(前週11位)に。

5月の月間売り上げランキングでも21位と、1日違いで発売されたGalaxy S4(月間4位)と大きく明暗が分かれており、携帯電話事業を経営再建の軸としたいシャープにとっては非常に厳しい状況です。

なお、これは以前、携帯電話販売店のスタッフがBUZZAP編集部員にドコモのツートップの売れ行きについて「ドコモのスマートフォン自体の需要増につながったという実感は無く、今までメーカーごとにばらけていた需要がツートップに集中している」とコメントしていたことを裏付ける形となっています。

もともとスマートフォン市場でシェアを獲得できていなかったNECやパナソニックだけでなく、虎の子である「IGZO液晶」搭載のハイスペックモデルをいち早く投入し、NTTドコモの2012年冬モデルを盛り上げるなど、貢献してきたはずのシャープすらもハシゴを外された形になる「ドコモのツートップ」。

まさにメーカー各社が苦心してリリースした新機種をその他大勢のように扱う「残酷な選別」ですが、これだけやってもNTTドコモの携帯IP接続サービス契約が純増に転じないところに問題の根深さを感じると同時に、もしプッシュされるメーカーがソニーやSamsungでなくAppleとなった場合、一体どうなるのだろうか……ということを考えると、空恐ろしい気持ちにならざるを得ません。

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