8月29日に発売されることが決まったauの新スマホ「新しいHTC J butterfly(HTL23)」。1300万画素と200万画素の2つのレンズで人間の目のような奥行き情報を取得し、撮影後にピント変更できる「デュオカメラ」を搭載するなど、カメラにこだわるHTCらしい特徴を兼ね備えています。
そこで今回は、カメラ画質で向かうところ敵無し状態が続く「Xperia Z」シリーズ最新モデル「Xperia ZL2」と、世界最速で夜景を撮り比べてみました。
◆比較に用いたスマートフォンは2機種
今回比較に用いたスマートフォンは「HTC J butterfly HTL23」「Xperia ZL2 SOL25」の2機種。搭載しているカメラの仕様・特徴は以下となりますが、HTC J butterfly HTL23については発売前の試作機なので、製品版と仕様が異なる可能性があります。
・HTC J butterfly HTL23
1300万画素・200万画素カメラで構成される「デュオカメラ」に加え、シャッターを押す1秒前から4秒間を撮影し、そこから写真を切り出す機能「Zoe」を搭載。被写体それぞれのベストな瞬間を切り出して合成することで、最も良い笑顔が並んだ集合写真を作ることなども可能なモデル。
・Xperia ZL2 SOL25
Xperia Z1で好評だった1/2.3インチ・2070万画素「Exmor RS」、F値2.0・27mm広角の「Gレンズ」、画像処理エンジン「モバイルBIONZ」などを搭載し、4K動画撮影機能などを追加。2014年au夏モデル画質比較で堂々のトップに輝きました。なお、ドコモ版の「Xperia Z2 SO-03F」とカメラの仕様は同じです。
◆さっそく夜景を撮影してみた
上記のスマートフォンを持って、実際に都内の夜景を撮影してみました。縦横比を4:3にした以外、基本的にカメラの設定には手を加えず、フラッシュは炊かない状態で撮影しているため、それぞれの機種の実力が分かりやすくなっています。
まずは秋葉原にある「ヨドバシカメラマルチメディアAkiba」。HTC J butterfly、Xperia ZL2の順番です。
いつもの上野恩賜公園・不忍池の風景。
蓮の花が咲き誇る不忍池にさらに近づいてみました。なお、Xperia ZL2はあまりにも暗くなると、おまかせプレミアムオートが「低照度」へと切り替わり、このようにかなり明るくなってしまいます。
続いては入場無料で地上202メートルの高さから東京を一望できる、都庁の展望室から南東方面を望んでみました。手前のビルの窓や、右下にあるビルの屋根に注目です。
続いては新宿パークタワー、東京オペラシティなどが見える南西方面。
練馬方面
新宿駅方面
都庁の足元に下った先には、美内すずえの人気漫画「ガラスの仮面」で主人公・北島マヤが幻の演劇「紅天女」の世界観を掴むきっかけとして作中に登場する「空の台座」と呼ばれるアートワーク。
なお、このアートワークは反対側から見るのが正解であるため、撮り直してみました。しかしHTC J butterflyのカメラ、暗いところでの苦戦が続きます……。
都庁から見えるビルの写真や、新宿駅に戻る道のりでも全く見え方は異なります。
都庁前
そして最後に歌舞伎町のドン・キホーテ新宿東口本店。ネオンサインがきれいに写るスマホはどちらでしょうか。
歌舞伎町一番街入口付近は平日夜にもかかわらず、にぎわいを見せていました。
夜景を動画で撮影してみたところ。なお、Xperia ZL2は4K動画撮影対応なのに対し、新しいHTC J butterflyはフルHDまでの対応となっています。
新しいHTC J butterfly(HTL23)で撮影した夜景 – YouTube
Xperia ZL2(SOL25)で撮影した夜景 – YouTube
◆暗いところで明るく撮れないHTC J butterfly(HTL23)
今回撮り比べてみて気になったのが、「新しいHTC J butterfly」が暗所にあまり強くないという点。明るく撮れすぎる場合があるものの、夜の公園といった暗いところでもそれなりに明るく、色鮮やかに撮れるXperia ZL2に対し、HTC J butterflyはそのまま暗く写してしまう感がありました。
また、Xperia ZL2の「プレミアムおまかせオート」ではシーンを判断し、自動で露光時間多めの夜景撮影モードに切り替わってくれますが、新しいHTC J butterflyのオート撮影モードではそのようなことはないのもネックに。その結果、暗すぎて何が何だか分からない写真まで撮れてしまいます。
ソフトウェア処理が必要なため、撮影の際に「背景ぼかし」を選ばないと一眼レフのようなボケ味を出せない他社のスマホと異なり、「新しいHTC J butterflyのデュオカメラは特にモードを切り替えることなく、いつでもボケ味を演出できる」と手軽さをうたっているだけに、もう少しなんとかならなかったのか……と思ってしまいました。
1年前に発売された前モデル「HTC J One」が苦手だった暗いところのネオンサインはこんな感じ。Xperia ZL2には及ばないものの、以前よりも改善しています。
そして最後にカメラの手ブレへの強さや、明暗の差が激しいところでのレスポンスをチェックしたのがこちら。Xperia ZL2のバランスの良さに驚かされます。
新しいHTC J butterfly HTL23とXperia ZL2、手ブレや明暗差に強いのはどっち – YouTube
◆Xperiaが新しいHTC J butterflyに全く及ばない部分もある
夜景勝負ではXperia ZL2が優勢な結果となってしまった新しいHTC J butterfly。しかしXperia ZL2には「フロントカメラが31万画素」という、非常に大きな弱点があります。
31万画素カメラでは640×480サイズの写真を撮るのが関の山で、搭載されているフルHD液晶の解像度にすら届かないどころか、どんなにキレイな人が自分撮りしても、撮影した写真を画面いっぱいに表示しようとすると無理矢理引き伸ばした、ぼんやりとした精細さに欠ける写真が出来上がってしまうわけです。
これはXperia ZL2と同時期に発売された「Xperia Z2(210万画素フロントカメラ搭載)」にも言えることで、ちょうどフルHDサイズ(1920×1080)の写真は撮れるものの、背景をカットするなど「必要な部分だけをトリミングして使う」といった加工を施せば、やはり解像度が足りなくなってしまいます。
その一方で、新しいHTC J butterflyには5インチ級スマホとして国内初となる500万画素フロントカメラを搭載。フルHDを上回るWQHD(2560×1440)サイズの写真を撮れるため、他のスマホには無い精細な自分撮りを楽しめるだけでなく、撮影後のトリミングにも耐えうるところは十分なアドバンテージだと思われます。
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