1~3月期にイー・モバイルが純減に陥り、4~6月期にはウィルコムまでも純減したことで、純減スタートとなったワイモバイル。
最大7台セットでスマホを叩き売り、「もう4台無料」キャンペーンで契約数を積み増したにもかかわらず純減……という、決して楽観視できない状況ですが、解約者向けに裏メニューを提供することで、さらに契約数を水増ししていたことが明らかになりました。
◆ウィルコムの解約者向け裏メニュー「番号・メアド保管サービス」
ウィルコムを解約しにいったら『番号保管サービス専用コース』に変更されていた件|eComStation 2 日本語版と Silverware のお部屋
上記の記事によると、今年2月に「W-ZERO3」以来使い続けてきたウィルコム回線を解約するためにウィルコムプラザを訪れたところ、裏メニューにあたるサービス「番号・メアド保管サービス」への申し込みを薦められたそうです。
同サービスはPHS回線の利用を休止しつつもEメールの保管および転送を利用できるというもので、月額利用料は無料。ユーザーから解除の申し出が無い場合、申し込みから1年後にPHS回線の解約処理が行われるとのこと。
ウィルコムプラザの店員はサービスの説明にあたり、以下のように述べたとのことですが、平たく言ってしまえば「タダでいいので1年間電話番号(=契約数)を維持させて欲しい」という申し出で、契約数の水増しが目的と受け取られても仕方がありません。
「今日解約してしまうと、今までお使いの電話番号やメールアドレスがすぐ他の人に割り当てられることで個人情報の観点からも具合が良くないということで、今こんなサービスをやっています。月額利用料は無料ですので、こちらにも記入をお願いします」◆解約者に「EMチャージ」のSIMを配り、永遠に契約数を維持するイー・モバイル
イー・モバイルを解約してもデータカードはEMチャージとして再利用できる件 | ひとぅブログ
EM(イーモバイル)チャージ利用レポート
そしてイー・モバイルが2009年ごろから解約者向けに展開しているのが、今まで使っていた端末に挿すだけで使えるプリペイドサービス「EMチャージ」のSIMカードおよび3000円分のチャージ配布。
ユーザーは好きな時に使える予備回線が手に入り、イー・モバイルは契約数を失わなくて済むという、双方にとってメリットのある仕組みですが、なんだかキナ臭くなってきたのが2011年6月。EMチャージの契約有効期間が突然760日に大きく引き延ばされました。
チャージの有効期間も引き伸ばされたため、これだけなら「ユーザーの利便性が大きく向上した」と考えることができなくもありませんが、問題はここから。イー・モバイルはEMチャージ契約者に対し、契約有効期間が切れる前に勝手にチャージし、契約期間を引き延ばしています。
これはBUZZAP!編集部で2012年2月に契約したEMチャージ。結局一度もチャージすることなく、今年3月ごろに契約自体が切れるはずでしたが、いつの間にか3000円が無償でチャージされ、契約有効期間がさらに2年間延びるという、不可思議な事態に。
つまりイー・モバイルはユーザーが解約を求めた場合、「EMチャージ」契約に切り替えさせ、無償でチャージして契約有効期間を延ばすことで、永遠に契約者を減らさない仕組みを導入していたわけです。
◆孫社長曰く「純増数は形骸化していた」
このように、なりふり構わぬやり方で契約数を維持・拡大していたウィルコムおよびイー・モバイル。しかしそれでも純減に陥ったというのは、決して見過ごせない事態であると考えられます。
なお、ワイモバイルを傘下に収めるソフトバンクの孫社長は、今月行われた2014年第1四半期決算発表会において「純増数は形骸化していた」とコメント。
しかし同社はフォトフレームや子ども向けケータイ、機種変更時に旧スマホへの無料SIM発行などで最大5割ほど契約数を積み増し、常に「純増数No.1」をアピールしてきた過去があります。
今までの経緯を考えれば、孫社長の「純増数が形骸化」発言は業界総出でツッコミを受けても仕方が無いものだと思われますが、それでも発言せざるを得なかった背景には、どうやってもカバーできなかったワイモバイルの不振があったのかもしれません。