格安スマホ市場にコンクリートブロックを投じるような、とんでもないプランが登場しました。
ドコモ回線を用いた格安SIMを提供するモバレコモバイルによると、同社は2016年5月16日(月)から、新たに2種類のプラン「超高速独占プラン」「超激混み激安プラン」を導入したそうです。各プランの詳細をまとめると、以下のようになります。
◆超高速独占プラン
1Mbpsの専用線を完全に1人で使えるようになるプラン。月額29万8000円。
通常、格安スマホは事業者がNTTドコモやKDDIに使用料を支払って借りた回線をユーザーに分配する仕組みのため、「混雑時に速度が低下してしまう」といった問題が発生してしまうわけですが、同プランでは完全に自分専用の回線で快適に通信できます。
対応端末はiPhone 6。ちなみに専用線なので、「直近○日間に○GB通信すると通信速度が低下する」といったような速度制限は一切ありません。
開通までの流れ。申し込み後、1つ1つ専用線を敷設する必要があるため、端末とSIMカードが届くのは最短2ヶ月後とのこと。なお、1ヶ月だけ使って解約することも可能です。
「1Mbpsで29万8000円」という数字を「高い割に遅い」と感じる人も少なくないと思われる超高速独占プラン。しかしNTT東日本の法人向けページによると、1Mbpsの固定専用線を引いた場合の月額料金は28万4000円~76万7000円。専用線というのはそれほどまでにコストがかかるものなのです。
◆超激混み激安プラン
上記の超高速独占プランと対極にあるのが、この超激混み激安プラン。月額298円という驚きの安さですが、ユーザーを詰め込めるだけ詰め込んで低価格を実現するというもので、「メールやLINEのチャット程度の通信であればなんとか普通に使える」という、お世辞にも快適とは言いがたいサービスです。
なお、超激混み激安プランは1000件以上の申し込みがあった場合のみ、サービスを提供するとのこと。つまり月額298円を1000人以上積み上げ、超高速独占プランと同額ないしそれ以上の通信料収入が見込めるときのみ、ようやく実現するというわけです。
たった1人で月額29万8000円を支払い、1Mbpsとはいえ制限無しで好きなだけLTE通信を利用できるプランと、月額298円を1000人以上集めてようやく実現する、過酷なまでの低速プラン。両者の間には天と地ほどの差があるわけですが、格安SIMや格安スマホがどういう仕組みで成り立っているのかを理解する上では、なかなか面白い試みではないでしょうか。