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KDDIやソフトバンクがNTTのセット割解禁に戦々恐々とするワケ

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先ほどNTTグループへの規制緩和をめぐって、KDDIやソフトバンク、イー・アクセスをはじめとする65社が総務省に抗議したことをお伝えしましたが、携帯電話事業でドコモより勢いのある各社がここまで神経質になることに違和感を覚える人も少なくないはず。そこでNTTの脅威を分かりやすく説明してみました。

◆「セット割」導入で確実に逆転できるNTT
まず記者会見で提示されたNTTグループのシェア。音声76%、FTTH(光ファイバー)72%、法人データ62%、携帯電話45%と、すべての分野でシェア1位に。今回総務省に抗議した各社が言う通り、圧倒的な支配力を維持しています。

巨大なNTT各社に対し、競合企業となるKDDIやソフトバンクモバイルは固定電話、固定回線、携帯電話をセット契約することで割り引く「auスマートバリュー」「スマホBB割」などのサービスを提供。シェアの切り崩しを進めています。

一方でNTTは電電公社時代からの膨大な資本力を生かし、兆円単位の費用を投じて光ファイバー網を整備しており、今から11年前の2003年の時点でNTT東西はライバルの電力会社各社(20万キロメートル)を上回る、総延長26万キロメートルの光ファイバーを保有。
KDDIが東京電力の光ファイバー事業を統合したほか、セット割引提供にあたり、電力会社と提携するなどの動きもあるものの、過疎地を含む日本全国津々浦々を自前で整備しているのはNTTだけです。
つまり規制が緩和され、NTTが「セット割引」を導入した場合、固定電話・固定回線・携帯電話それぞれで持つ圧倒的なシェアがとんでもない相乗効果を生み出してしまうと同時に、競合他社は確実に干上がってしまうわけです。
◆すべてはNTTの手のひらの上?
このように非常に大きな意味を持つNTTの光ファイバーですが、さらに興味深いのがNTTがKDDIやソフトバンクなどの競合事業者の生命線を握っているという部分。記者会見で各社の広報担当に確認したところ、携帯電話基地局のバックボーンにはNTTの光ファイバーが用いられているそうです。
カバーエリアの小さい基地局を複数重ねることで通信速度を向上させる「小セル化」を進めているソフトバンク。しかし各基地局を結ぶネットワークはNTTの光ファイバーです。

もちろん自社で整備した通信網をバックボーンに利用しているケースもありますが、特に山間部などの過疎地では採算面などからもNTTの光ファイバーを用いざるをえないとのこと。
つまり携帯各社がシェア獲得のため、血で血を洗う焦土戦のような値引き合戦を行うようなことがあったとしても、光ファイバー網を握っている限り、NTTには回線使用料が入り続けるため、すべてはNTTの手のひらの上での争い……ということになりかねないわけです。
また、携帯各社は今後、下り最大1Gbpsに達する次世代高速通信を実現するために3.4GHz~3.6GHzを用いた通信サービスを提供する予定ですが、同周波数帯はWiMAXやAXGP(2.5GHz)よりも建物内などに弱く、カバーエリアを稼ぐためには今以上に基地局を細かく敷き詰めるしかありません。
さらにスマホの普及で増大の一途をたどる通信量をさばくためにも、今後小セルないし極小セルの需要が高まるとみられますが、それらを支えるインフラも、やはりNTTの光ファイバーです。

このようにNTTが持つ最大にして最強の武器と言っても過言ではない光ファイバー網。
電電公社時代からの膨大な資本力を用いて整備された経緯から、競合他社とスタートラインの時点で全く異なり、規制なくしては公正な競争が成り立たないため、規制緩和に対しては細心の注意を払って欲しい……という通信各社の要望も一理あるのではないでしょうか。

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