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ワイモバイルは用済み、ソフトバンクが吸収合併に踏み切る背景を考えてみた

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先ほど発表された、ソフトバンクモバイルによるワイモバイル・ソフトバンクBB・ソフトバンクテレコム吸収合併。
昨年ウィルコムとイー・アクセスが合併して生まれたワイモバイルに至っては、発足から1年足らずで消滅してしまうわけですが、その背景を考えてみました。

◆突如発表されたソフトバンクモバイルによる吸収合併
本日発表された内容をざっとまとめるとこんな感じ。合併によって各社の経営資源をさらに集約し、国内通信事業の競争力を一層強化。革新的なサービスの創出に取り組むとともに、構造改革を通じて経営効率を高める方針としています。
・ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム、ワイモバイルが合併
・存続会社はソフトバンクモバイル(他は消滅会社に)
・1月23日に合併決議取締役会・合併契約締結、2月25日の株主総会で合併承認予定、4月1日に合併予定
・ワイモバイル株式会社は発足10ヶ月で消滅することに
◆別会社として存続させることには意味があった
2010年にウィルコム、2012年にイー・アクセスを傘下に収めたものの、長らく独立した子会社として存続させていたソフトバンク。なぜ早々に統合しなかったのかが気になるところですが、これにはちゃんと意味がありました。
まず、最も大きな要素が「純増数をかさ増しできる」という部分。携帯電話契約数が日本の総人口を超えてもなお、最近まで携帯各社は純増数を争っていたわけですが、ソフトバンクはウィルコムのPHS回線やソフトバンクの3G回線に対応するスマホなどを発売し、「1台契約するだけでグループ各社が純増する」環境を積極的に構築してきました。

その上でグループの契約数を合算することで、競合するNTTドコモやKDDIよりも優位であることをアピールしてきた経緯があります。

また、もう一つの大きな理由が、総務省による電波の割り当て方針。
「割り当てられた電波は自社の通信サービスに使う」という原則があり、同じグループ会社であっても、総務省は通信会社ごとに個別に事情を勘案していたため、ソフトバンクにとってはウィルコムやイー・アクセス、ひいてはワイモバイルを別会社のまま存続させておいた方が都合が良かったわけです。
◆変わり始めた潮目、ワイモバイルを独立させておく理由が稀薄に
このように、ソフトバンクがウィルコムやイー・アクセス、ワイモバイルを別会社にしておくことには意味があったわけですが、大きく流れが変わったのが2014年。
・MNP獲得競争過熱に総務省が懸念、純増を争う風潮がようやく緩和
携帯各社は純増数を競うあまり、2014年春の学割商戦で「iPhone 5s本体一括0円+高額なキャッシュバック」など、えげつないMNP獲得競争に突入。

その結果、同じ端末・同じサービス内容にもかかわらず機種変更とMNPで2倍以上の料金差が生まれるという、不公平極まりない状況に陥りました。

あまりの事態に携帯各社の監督官庁である総務省が懸念を示したこともあって、キャッシュバック戦争は3月に終了。
4月から、契約数獲得競争過熱の元凶でもあった純増数の開示が毎月から四半期ごとに切り替わったこともあって、長きにわたって携帯各社を縛ってきた、純増数を競う風潮がようやく薄れたわけです。
・周波数の新規割り当て方針が大きく変更、グループ単位で判断されるように
さらに総務省も従来から方針を大きく転換。前述の通り、「割り当てられた電波は自社の通信サービスに使う」という原則の下、周波数帯の新規割り当ては通信会社単位で行われてきたわけですが、ついに会社をまたいだ電波の有効活用が可能に。
加えて共同利用や貸し借りの実態、資本関係などを考慮し、グループとして必要な周波数の幅を判断するルールも昨年の3.4~3.6GHz帯割り当ての際に導入され、その結果、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクモバイルの3社が均等に周波数帯を獲得しました。
つまり純増数を競う必要が薄れ、グループ内での電波相互利用が認められた以上、ソフトバンクにとって、もはやワイモバイルを別個の会社として維持しておく理由は無く、法人としてのワイモバイルは用済みなわけです。
◆保持する周波数帯域はソフトバンクがトップのまま
ちなみに2015年1月時点での周波数保有状況(グループ別)をまとめるとこんな感じ。ソフトバンクモバイルが依然として最も多く割り当てられているのが現状で、合併によってグループが持つ周波数帯すべてをまとめたサービスを積極展開してくることになると思われます。
・NTTドコモ
700MHz帯:10MHz×2
800MHz帯:15MHz×2
1.5GHz帯:15MHz×2
1.7GHz帯:20MHz×2
2.1GHz帯:20MHz×2
3.5GHz帯:40MHz
計:200MHz
・KDDI(UQコミュニケーションズ含む)
700MHz帯:10MHz×2
800MHz帯:15MHz×2
1.5GHz帯:10MHz×2
2.1GHz帯:20MHz×2
2.5GHz帯:50MHz
3.5GHz帯:40MHz
計:200MHz
・ソフトバンクモバイル(ワイモバイル、ワイヤレスシティプランニング含む)
700MHz帯:10MHz×2
900MHz帯:15MHz×2
1.5GHz帯:10MHz×2
1.7GHz帯:15MHz×2
2.1GHz帯:20MHz×2
2.5GHz帯:30MHz
3.5GHz帯:40MHz
計:210MHz

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